熊本県議会 > 2022-06-09 >
06月09日-03号

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  1. 熊本県議会 2022-06-09
    06月09日-03号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    令和4年 6月 定例会               第 3 号              (6月9日)  令和4年   熊本県議会6月定例会会議録     第3号令和4年6月9日(木曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第3号  令和4年6月9日(木曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(47人)            堤   泰 之 君            前 田 敬 介 君            城 戸   淳 君            本 田 雄 三 君            南 部 隼 平 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            西 村 尚 武 君            島 田   稔 君            山 本 伸 裕 君            岩 田 智 子 君            池 永 幸 生 君            竹 﨑 和 虎 君            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            濱 田 大 造 君            前 田 憲 秀 君            磯 田   毅 君            西   聖 一 君            楠 本 千 秋 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            渕 上 陽 一 君            田 代 国 広 君            城 下 広 作 君            鎌 田   聡 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            井 手 順 雄 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            前 川   收 君欠席議員氏名(1人)            増 永 慎一郎 君  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     副知事    木 村   敬 君     知事公室長  小 牧 裕 明 君     総務部長   平 井 宏 英 君     企画振興部長 高 橋 太 朗 君     理    事 水 谷 孝 司 君     理    事 小金丸   健 君     健康福祉部長 沼 川 敦 彦 君     環境生活部長 小 原 雅 之 君     商工労働部長 三 輪 孝 之 君     観光戦略部長 原 山 明 博 君     農林水産部長 竹 内 信 義 君     土木部長   亀 崎 直 隆 君     会計管理者  野 尾 晴一朗 君     企業局長   竹 田 尚 史 君     病院事業            渡 辺 克 淑 君     管理者     教育長    白 石 伸 一 君     警察本部長  山 口 寛 峰 君     人事委員会            西 尾 浩 明 君     事務局長     監査委員   藤 井 一 恵 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   手 島 伸 介     事務局次長            村 田 竜 二     兼総務課長     議事課長   富 田 博 英     審議員兼            濱 田 浩 史     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時開議 ○議長(溝口幸治君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○議長(溝口幸治君) 日程に従いまして、日程第1、昨日に引き続き一般質問を行います。 橋口海平君。  〔橋口海平君登壇〕(拍手) ◆(橋口海平君) 皆さん、おはようございます。自由民主党・熊本市第一選挙区選出の橋口海平です。今回で12回目の一般質問をさせていただきます。毎回、初めての質問のような気持ちで、とても緊張しておりますが、どうか皆様方、最後まで温かい目で見守っていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ロシアがウクライナに侵攻を始めたのが2月24日でした。本日で侵攻を始めて106日目です。本当に長い戦いが行われておりますが、祖国のために犠牲者になられた方の御冥福をお祈り申し上げます。 改めて、今回のロシアの侵攻で、平和というものは自分たちの手でつくっていかなければならないことを思い知らされました。 我々政治の最大の役割は、県民の生命、身体、財産を守っていくことです。しっかりとそのことを胸に刻み、政治活動を続けていかなければならないと感じているところです。 本日は、5つの質問と1つの要望です。通告に従いまして質問に入らせていただきます。 まず初めに、空港の新ターミナルビルについて質問します。 熊本空港の新しいターミナルビルについては、皆さん御存じのとおり、2023年3月23日に開業することが決まりました。本当に明るい話題で、うれしく思っているところです。 本県では、熊本地震で被害を受けた阿蘇くまもと空港創造的復興のシンボルと位置づけ、空港の活性化による交流人口の拡大と地域の活性化を目指し、新しいターミナルビルを建設しているところです。 現在の路線は、国内線では、1日に、羽田が18便、成田が2便、伊丹が11便、セントレアが3便、小牧が3便、静岡が1便、沖縄が1便、天草が1便、合計8路線40便。国際線は、週、台湾・高雄が3便、韓国・ソウルが5便、香港が3便、合計3路線11便が就航しております。しかしながら、現在、国際線については、御存じのとおり、新型コロナウイルスの影響で、全ての便が運休となっております。 利用者数については、10年前の平成24年度は約286万人でしたが、そこから数えても年々増加傾向であり、平成27年度は約316万人、次の年の平成28年度は、熊本地震の影響もあり、約295万人と少し下がりましたが、次の年からまた戻り、順調に伸びていっておりました。しかしながら、新型コロナウイルスの影響により、令和2年度は約85万人、令和3年度は約136万人と、現在はかなり少なくなっている状況です。国際線に関しましても、毎年増加傾向にあったのですが、令和2年度、令和3年度はゼロ人ということで、新型コロナウイルスが一刻も早く収束することを願うばかりです。 そのような中、新ターミナルビルが3月23日に開業するということが発表されました。新しい空港ビルでは、今まで別々にあった国内線と国際線のターミナルビルが一体型となります。また、制限エリア内の店舗面積は、従来54平方メートルだったのが2,500平方メートルとなり、また、免税店舗の面積も従来の約10倍の広さとなります。さらに、ターミナルビルの隣には、食と旅をテーマにした商業施設も同時期に完成し、2024年の春以降には、イベントなどができる広場も完成すると聞いております。このことは、本当に一県民としてうれしく、また、飛行機に乗る予定がなくても、お出かけスポットとして楽しめる空港になるのではないかと楽しみにしております。 2051年度の目標としては、旅客数622万人、貨物量4.2万トン、路線数28路線、便数433便、航空系収入27億円、非航空系収入145億円、スカイトラックス5スター取得、航空サービス利用者総合満足度8.0取得、非航空サービス利用者総合満足度8.0という数字を掲げております。この目標値を計画していたのは新型コロナウイルス前だったのですが、現状を鑑みると、新型コロナウイルスの影響で、短期的には、旅客数は目標値と比較して減少しております。 一方で、TSMCの進出という、コンセッションの導入の際には想定できなかった大きな追い風も吹いております。 また、国際線については、目標の17路線のうち10路線程度が中国となっており、偏りがあるのではないかと思います。 本当であれば、新ターミナルビルが建設され、スタートダッシュで一気に急上昇できればと思いますが、いまだに新型コロナウイルスの収束が見えない中、利用者数の増加を目指さなければなりません。 そこで質問です。 2023年3月23日の開業を多くの県民が楽しみにしていると思いますが、新ターミナルビル開業に対する知事の意気込み、そして2051年度の目標の達成に向け、県としてどのように取り組むのか、知事のお考えをお尋ねします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 私は、知事就任以来、阿蘇くまもと空港とその周辺を一体のものとして捉え、空港周辺地域の活性化とさらなる発展を実現するため、大空港構想の実現に取り組んでまいりました。 大空港構想の核となる阿蘇くまもと空港は、熊本地震により甚大な被害を受けました。 その際、私は、単に震災前の状態に戻すのではなく、50年先、100年先の熊本の発展に寄与するよう、全国で初めて、ターミナルビルの設計段階からコンセッション方式を導入する判断をいたしました。 来年の春、いよいよ、民間のノウハウや資金を活用したターミナルビルが開業します。 別々の建物にあった国内線と国際線のターミナルビルは機能が一体化し、搭乗直前まで快適な時間を過ごせる滞在型ゲートラウンジを設置するほか、デジタル技術を活用し、搭乗手続の待ち時間を短縮するなど、利便性が大きく向上します。 また、SDGsにも配慮し、駐車場に太陽光発電設備を導入し、ターミナルビルに電力を供給します。 まさに、創造的復興のシンボルとして、夢にあふれ、希望を未来へとつなぐ新たな空港に喜びと期待で胸が膨らんでいます。 議員御質問の熊本国際空港株式会社が掲げる2051年度の目標達成に向けては、民間が持つ専門性やノウハウを最大限に生かす取組が重要だと考えています。 具体的には、運営会社において、ビッグデータ等を活用した航路ごとの需要予測や分析を進めていただき、さらには県や経済界によるトップセールスなどで、誘致活動を積極的に展開します。 特に、国際線の新規路線誘致については、東アジアをはじめ、経済成長が著しい東南アジア諸国の可能性を的確に把握し、幅広い視点から戦略性を持って、航空ネットワークの拡大に取り組みます。 また、TSMCの進出というビッグチャンスを逃がさず、熊本―台北線の実現を目指し、旅客数や航空貨物の増加を図るとともに、今後も時流の変化に的確に対応しながら、熊本国際空港株式会社とともに、2051年度の目標達成につなげてまいります。 今後も引き続き、新しく生まれ変わる阿蘇くまもと空港の魅力を、私が先頭に立って、国内はもとより、全世界に発信してまいります。 さらに、空港アクセス鉄道の整備検討など、空港機能の強化を図りながら、九州のセントラルゲートウエーとしての地位を確立し、大空港構想の実現と県経済のさらなる発展につなげてまいります。  〔橋口海平君登壇〕 ◆(橋口海平君) 答弁で、知事は、50年先、100年先の熊本の発展に寄与する、また、夢にあふれ、希望を未来へとつなぐ新たな空港に喜びと期待で胸が膨らむと発言されました。まさにそのとおりだと思っております。 新型コロナウイルスが収まることによって、これからどんどん訪日旅行者が増えて、今まで以上に熊本に来る観光客も増加するのではないかと思います。 また、それに伴いまして、どこの県も観光客誘致にさらに力を入れてくると思います。地域間競争も今まで以上に激しくなると思います。もちろん、県内それぞれの観光地をブラッシュアップしていくのは当然だと思いますが、その入り口となる空港が新しくなることは、とてもプラスになると思います。ぜひその効果を最大限に生かして、50年先、100年先の熊本の発展に寄与していただきたいと思います。 また、国際線の新規路線誘致については、東アジアをはじめ東南アジア諸国の可能性を把握し、戦略性を持って、航空ネットワークの拡大に取り組むと答弁がありました。少し安心しました。 質問でも申し上げましたように、将来の路線図を見てみると、10路線程度が中国に偏っており、心配していたところです。中国は、政治的な背景で、何かあると飛行機を飛ばさなくなる可能性があると感じているからです。ぜひ、答弁でも発言したとおり、東アジア、東南アジアの多くの国々と就航できるよう取り組んでいただきたいと思います。 議会側もぜひ、執行部、そして経済界と一緒になって、特に藤川会長率いる台湾議連、吉永会長率いる東アジア議連の皆様方も、積極的に足を運んで営業していただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 続きまして、スタートアップの創出について質問します。 まず、スタートアップについて説明します。 東京大学のイノベーションエコシステム拡大を担い、起業支援、投資事業、コーポレートイノベーション支援という3つの活動を行う東大IPCという会社がありますが、そのホームページによると、スタートアップとは、急成長する組織のことです。数年間で数千億の評価価値がつく会社や数十年で世界を変革するような事業を行おうとしている会社などを指します。 スタートアップと聞くと、起業して間もない会社と思われがちですが、起業時期は関係なく、先ほど申し上げた急成長する組織のことです。 現在、岸田政権が掲げる新しい資本主義における成長と分配の好循環やデジタル田園都市国家構想を通じた地域発の成長を実現するための原動力、牽引力となるのは、スタートアップであると考えます。 しかしながら、日本は、未上場のスタートアップ企業ベンチャー企業に出資して株式を取得し、将来的にその企業が株式を公開した際に株式を売却し、大きな値上がり益の獲得を目指す投資、いわゆるベンチャーキャピタル等は、海外と比べて非常に小さいのが現状です。これは大きな課題だと思います。 創業間もないスタートアップ企業等では、担保も不十分で、銀行融資では事業を行うための資金が十分得られないことが一般的ですが、ベンチャーキャピタルは、それを手助けしてくれる存在で、ベンチャーキャピタルから受ける出資は、融資と異なり、返済の義務はありません。ですが、事業内容など成功の可能性を中心に判断され、出資に見合うリターンを上げることが望まれるとのことです。 現在、国においても、ベンチャー支援は一丁目一番地の政策であり、特に首都圏では、様々なリソースを集中投入されております。スタートアップ・エコシステム拠点都市としまして、スタートアップエコシステム 東京コンソーシアム、愛知のCentral Japan Startup Ecosystem Consortium、大阪・京都・ひょうご神戸コンソーシアム福岡スタートアップコンソーシアムの4つがグローバル拠点都市として、札幌・北海道スタートアップエコシステム推進協議会仙台スタートアップエコシステム推進協議会広島地域イノベーション戦略推進会議、北九州市SDGsスタートアップエコシステムコンソーシアムの4つが推進拠点都市として認定されております。残念ながら、熊本は入っておりませんが、九州の福岡県では、福岡と北九州の2都市が入っており、これまでスタートアップの取組を行ってきた結果なんだろうと思います。 それに認定されない地域でも、例えば浜松市の取組では、浜松市ファンドサポート事業というものがあります。この事業は、スタートアップ企業に対して投資を行うベンチャーキャピタル等と協調し資金を交付することで、スタートアップの事業化を支援する取組です。 その内容は、市が認定すると、申請事業全体の事業費の2分の1をベンチャーキャピタルが、そして2分の1を市が出資するというものです。このことは、スタートアップ企業にとっても非常に資金が集まりやすくなり、様々な事業を円滑に展開できるのではないかと思います。 そのような状況の中、九州経済産業局は、管内で活動するスタートアップ33社をJ-Startup KYUSHU企業として選定されました。そのうち、県内企業は6社が選ばれております。県関係は、無人クリーニングサービスのAiCT、先進的な聴診器開発に取り組むAMI、医療器具開発のトイメディカル、快眠グッズを扱うムーンムーン、食品通販の利他フーズ、遠隔画像診断のワイズ・リーディング、この6社です。対象企業は、イベント出展や研究開発などで、国などの支援が受けやすくなるそうです。ぜひ頑張って県内企業として世界に進出してほしいと思いますし、追随する企業が数多く現れるのを期待しているところでございます。 そこで質問です。 このように、国もこの支援を一丁目一番地の政策として取り組んでいく中、本県でもスタートアップの取組を積極的に進めていかなければいけないのではないかと考えます。 現在、スタートアップの取組についてどのように行っているのか、また、浜松市のような認定ベンチャーキャピタル制度も必要と考えますが、今後どのようにスタートアップを進めていくのか、木村副知事にお伺いします。  〔副知事木村敬君登壇〕 ◎副知事(木村敬君) お答えいたします。 スタートアップの創出は、本県経済の成長を牽引するものとして、大変重要であると考えております。 県ではこれまで、起業から成長に至る様々なフェーズでスタートアップ支援を行っております。 平成28年に産学官連携により設立した熊本県次世代ベンチャー創出支援コンソーシアムでは、シーズの磨き上げや経営のノウハウの助言などの伴走支援を実施いたしました結果、6年間で14社の起業が実現しております。 また、平成30年に設けましたスタートアップ補助金により、創業初期の企業に対する研究や商品開発などの支援を行いまして、議員御紹介のJ-Startup KYUSHU企業に選定された企業も出てきております。 さらに、植物肉で世界に進出されているDAIZ株式会社のような企業に対しましては、施設や設備投資への支援により企業の成長を支えております。 起業に当たっては、収益化までに時間を要し、多額の資金が必要になることが最も大きな課題です。 議員御紹介の浜松市など他の自治体の取組も参考に、民間ベンチャーキャピタルなどを本県に呼び込むための新たな取組を検討してまいります。 また、起業家に対する経営面における課題解決も成長への大きな鍵と考えられます。 そのため、県出資法人であるくまもと産業支援財団と熊本県起業化支援センターを統合しまして産業支援機関の強化を図り、創業当初の資金提供から専門家による経営相談、人材育成まで、総合的経営支援を一体的に行ってまいりたいと考えております。 さらに、ライフサイエンスを中心として、新しい技術やシーズが生まれ、起業につながるUXプロジェクトで様々な取組を進めています。 具体的には、テクノ・リサーチパーク内に人的、技術的な交流拠点を設けまして、共同実験ですとか試作品の展示などの場を提供することで、企業のビジネスマッチングの支援を行ってまいります。また、県が設定した社会課題を解決するための実証実験を支援することで、県民サービスの向上につなげるとともに、企業の成長を促進いたします。 引き続き、関係機関と連携を図りながら、起業家に寄り添ったスタートアップ支援にしっかりと取り組んでまいります。  〔橋口海平君登壇〕 ◆(橋口海平君) 木村副知事のほうから、私的にはかなり前向きな答弁をいただいたと思っております。本当にうれしく思います。 くまもと産業支援財団と熊本県起業化支援センターの統合、そしてテクノ・リサーチパーク内に人的、技術的交流拠点を設けるともありました。しっかりそこで伴走型支援を行っていただいて、起業家が熊本から世界に羽ばたける土壌をつくっていただければと思います。 そしてまた、一昨日、政府の骨太の方針が発表されました。その中にスタートアップへの投資の部分があるのですが、飛躍を遂げることができる環境を整備することにより、戦後の日本の創業期に次ぐ第二創業期の実現を目指す、5年10倍増を視野に、政策を大胆に展開する、スタートアップが直面する資金調達の困難さの解消や環境整備、起業を支える人材の育成や確保、経営を支援する専門家等の相談窓口整備、研究開発や販路開拓等、様々な支援が記載されております。ぜひ、国の動向にもアンテナを張りつつ、熊本独自でも大胆に取り組んでいただきたいと思います。 そしてまた、スタートアップのもう一つの支援に、起業創業支援もあるかと思います。肥後銀行さんは、銀座通りにスタートアップ ハブ くまもとを開設し、創業、開業を支援しております。ぜひ連携を図っていただき、創業、開業をしっかりサポートし、そしてスタートアップ支援を行い、ぜひ、起業をするなら熊本と言われるくらい頑張っていただければと思います。 スタートアップ支援には、地域を変えられるくらいのすごいパワーがあると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 続きまして、今後のデジタル戦略について質問します。 2021年9月1日にデジタル庁が組織されました。 デジタル庁は、デジタル社会形成の司令塔として、未来志向のデジタルトランスフォーメーションを大胆に推進し、デジタル時代の官民のインフラを今後5年で一気呵成につくり上げることを目指すために立ち上げられた組織です。そして、徹底的な国民目線でのサービス創出やデータ資源の利活用、社会全体のDXの推進を通じ、全ての国民にデジタル化の恩恵が行き渡る社会を実現すべく、取組を進めていくとのことです。 そして、ミッション・ビジョン・バリューとしては、ミッションが「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化。」、ビジョンが「Government as a Service」「Government as a Startup」、そしてバリューが「この国に暮らす一人ひとりのために」「常に目的を問い」「あらゆる立場を超えて」「成果への挑戦を続けます」となっております。その考えの下、デジタル庁を先頭に、国、自治体、民間事業者が連携、協力しながら様々なデジタル化が進められていると思います。 本県では、デジタル化を進めるため、産学から成るDXくまもと創生会議を設置し、様々な議論を重ね、令和4年2月に、くまもとDXグランドデザインを策定されました。そしてまた、デジタル化を進めるため、新たな組織を県庁内に立ち上げました。企画振興部内のデジタル戦略局です。そこには、デジタル戦略推進課システム改革課の2つから成る部署ですが、県庁職員と一体となって改革を推進していくために、民間人のデジタル戦略監を置いております。まさに、県庁も本気になってデジタル化を進める気持ちの表れだと感じております。 また、デジタル社会の実現に向けては、住民に身近な行政を担う市町村の役割も極めて重要になります。各市町村においては、デジタル技術を活用し、住民の利便性を向上させるとともに、業務効率化を図ることで、人的資源を行政サービスのさらなる向上につなげていく必要があります。 しかしながら、市町村においては、デジタル化を計画的に推進していくに当たり、様々な課題を抱えています。 まず、デジタル化を具体的に実現するための専門知識を持った担当職員の確保、それ以外の一般職員に対するデジタル化に対する意識づけや研修の実施、自治体の現場に精通した外部のデジタル専門人材の確保など、人材確保等に係る課題です。 なお、外部のデジタル専門人材の活用に当たっては、各市町村の個別の事情に沿った課題点の分析、計画策定といった初期段階からの支援ができる人材が求められております。 また、デジタル化に向けて、具体的にどのように進めて、どのような作業が必要なのか、そういった標準的な手順や先行事例の共有等が求められております。 加えて、市町村が個別に情報システムを導入することでコストがかさみ、財政的にも効率的ではないといった課題もあります。 そこで質問です。 全ての国民にデジタル化の恩恵を行き渡らせるための市町村の支援について、新たな組織においてどのように進めていくのか、デジタル戦略担当理事にお尋ねいたします。  〔理事小金丸健君登壇〕 ◎理事(小金丸健君) デジタル社会の実現を考える上で、住民に身近な市町村のデジタル化、DXの推進は大変重要な取組であると認識しています。また、その意義は、住民の利便性向上や行政の効率化のみならず、行政データの社会的な活用、さらには官民連携による新たな価値の創出の観点からも大変大きいと考えています。 議員御指摘のとおり、市町村が取組を進める上で課題となり得るのは、市町村長の理解とリーダーシップ、推進体制の整備、専門的知見を有する人材の確保、そして技術面での対応力です。 国では、自治体全体として足並みをそろえて取り組んでいく必要があることから、令和2年12月に自治体DX推進計画を策定し、行政手続のオンライン化など、自治体が重点的に取り組むべき事項、内容を具体化するとともに、補助制度や財政措置などの支援策を講じています。 県では、市町村の取組を力強く支援するため、新たに県及び市町村の担当課長で構成する熊本県市町村DX推進連絡調整会議を5月に設置しました。市町村の抱える課題や先行市町村の取組の事例の共有を図りながら、市町村の計画的な取組を支援していくこととしています。 また、個別市町村の課題解決を支援するため、デジタル専門人材の派遣を行っています。昨年度よりも予算や人員体制の規模を拡大し、より多くの市町村に対して、技術面からも丁寧に御相談に対応してまいります。 さらに、自治体DX推進計画で目標の時期を今年度末としている子育て、介護関係手続のオンライン化については、県の職員が市町村に個別訪問し、実情に応じた支援にも努めます。 なお、熊本市や人吉市など幾つかの市では、先行してスマートシティーの取組が推進されています。 県としては、デジタル技術やデータを活用した地域づくりを県全体に広め、進めていく観点から、先行している市と緊密に連携を取り、支援を行っています。 県としては、市町村におけるデジタル化、DXを計画的かつ効果的に実行していくため、デジタル戦略局を中心に県が主導的な役割を果たしながら、しっかりと市町村の取組を支援してまいります。  〔橋口海平君登壇〕 ◆(橋口海平君) 自治体の中で、市町村は、住民に一番近い自治体です。ということは、住民サービスの多くは市町村が担っているので、そこをしっかりとサポートしていく必要があります。 また、デジタル化というと、とても遠くに感じる方も数多くいます。まずは、デジタルを身近に感じてもらえる取組も必要になってくるのではないのでしょうか。 例えば、スマートロックというものがありますが、これは、Wi-Fiで施設の鍵の開け閉めを行うものです。例えば、体育館を借りたりすると、その都度違う暗証番号を発行し、暗証番号を入力することで解錠することができます。そうすると、鍵の開け閉めの立会いをする人が必要じゃなくなります。私も、たまに小学校の体育館を夜間閉めることがありますが、鍵の管理も大変だし、担い手もあまりおりません。そのようなことも解消されます。また、災害時にも、鍵を持っている人がいないと解錠することができませんでしたが、そういったときでも、避難所の開放がスピーディーに行うことができます。 このように、まずはデジタルを身近に感じていただくことで理解も深まり、誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を実現できるかと思います。ぜひ、市町村への支援もしっかりと行っていただければと思っております。 続きまして、建設産業の人材育成と確保について質問します。 私は、過去にも建設産業について質問してきました。初当選のときから、この人材育成と確保については何度も取り上げてきました。今回もこの問題を取り上げるのは、時代が進むのに従って課題の形が少しずつ変わっているからです。というわけで、今回も人材育成と確保について質問させていただきます。 現在、人材確保に関して、本県を取り巻く現状として大きな問題となっていること、それは、まず人口の減少です。2022年4月の人口は171万7,983人です。2021年4月の人口は173万940人でしたので、1年間で約1万3,000人減少したことになります。この人口減少問題が、建設産業分野だけにかかわらず、地域に与える影響は非常に大きいものだと考えております。 それと、TSMCが熊本に来ることによる人材の奪い合いがさらに激化することによる影響も考えられます。TSMCが熊本に来ることは、地域だけではなく、日本にとっても非常に大事なことであり、経済波及効果は、肥後銀行の調べによると、再来年からの2年間で、およそ1兆8,000億円に上るとする試算でありました。このことは、本県にとって明るい話題です。知事が言う経済の安全保障にとっても、非常に重要なものだと感じているところです。 しかしながら、現在1,700人を雇用する計画があり、そのほかにも、関連企業の誘致が進めば、さらに多くの人材が必要になってくると思われます。もちろん、すぐに建設産業から製造業に人材が流れることはほとんどないと思いますが、将来的には、やはり若い人たちは、いい待遇のこちらのほうに流れていくのではないかと思います。ただでさえ人手不足の業界に拍車がかかるのではないかと危惧しているところです。 過去にも申しましたが、建設産業の就業者数は、全国では、1997年の685万人をピークに、2018年には503万人となり、20年間で182万人減少しております。技術者は41万人から33万人に、技能者も455万人から328万人に減少しております。全国の数字でこのように減少しているのであれば、もちろん本県でも減少しているのは当然です。 また、それと同時に、建設産業の就業者の高齢化も問題となっております。皆さん御存じのとおり、本県は非常に災害が多い地域であります。2012年に九州北部豪雨、2016年に熊本地震、2020年に県南豪雨と、4年に1回大きな災害がやってきております。 このような災害が発生すると、建設産業は、その復旧、復興に粉骨砕身取り組んでおり、大変重要な役割を果たしているところです。しかしながら、先ほど申し上げたように、建設産業に入ってくる入職者は、様々な影響で減っており、今後さらに減少するのではないかと心配しているところです。 そのような中、本県では、建設産業新3Kプロジェクト事業を行っております。建設産業新3Kプロジェクト事業とは、高校生など、より若い世代に対して、建設産業の魅力を発信する事業を強化するとともに、働き方改革に取り組む企業に対する支援等を通じて、将来にわたり地域を支え得る足腰の強い建設産業を構築するために、建設産業が真に若者から選ばれる産業となるよう、新3Kを推進する取組です。給与、休暇、希望の頭文字をとって新3Kと呼んでいます。まさに今必要なことだと感じています。 そしてまた、今年度は、建設産業にとって働き方改革元年と言ってもいい年ではないかと思います。若い人たちに聞いても、やはり週休2日を望んでいる方が非常に多く、それを確保し、働きやすい環境を整えることが必要不可欠となっていると思います。 そのような様々な取組もあり、中卒、高卒の県内建設業就業者数は、平成30年は171人、令和元年は180人、令和2年は178人、令和3年は181人、令和4年は204人と着実に効果も現れてきております。しかしながら、人口減などによる影響で、人材の奪い合いが始まってきております。 このように、建設産業の人材については、現在においても、また、将来的な意味でも大変心配される状況にあり、その人材育成と確保は喫緊の課題であると思いますし、確固たる対策が必要だと感じております。 そこで質問です。 本県における現在の人材育成と確保をどのように認識しているのか、また、今後どのように取り組んでいくのか、土木部長にお尋ねします。  〔土木部長亀崎直隆君登壇〕 ◎土木部長(亀崎直隆君) 建設産業は、インフラの整備や維持管理、災害時の復旧、復興などを通じて、県民の安全、安心に寄与し、地域の雇用、経済を支える重要な産業です。 県内建設産業の就業者の状況は、平成29年度で55歳以上の就業者は39.2%と、他の産業に比べ高くなっております。 また、本年5月に実施した県内全ての建設業協会支部との意見交換では、一部の企業からは、高校新卒者の採用ができているとの声がある一方、小規模な企業からは、依然として採用が進まないとの声も聞かれたところです。 本県の建設産業は、熊本地震や豪雨災害などの経験から、様々なノウハウを蓄積されています。本県が日本の災害に対する安全保障に貢献するためになくてはならない存在であり、その人材、とりわけ若手技術者の育成と確保は重要な課題であると認識しております。 県では、平成31年3月に策定した第3次熊本県建設産業振興プランにおいて「将来の建設産業を支える人材の確保・育成」を掲げております。主に工業高校の生徒を対象とした建設産業への理解促進や若手技術者の資格取得の支援など、関係機関と連携して、様々な取組を進めてきました。 これらの取組を進める中で、高校土木科の志願者数を増やすため、子供の頃から建設産業に触れる機会を設けるとともに、若者から選ばれる労働環境を整えていくことが必要と感じております。 このため、本年度は、小中学生をターゲットに、建設産業の魅力やその役割を伝えるイベントや広報などを実施していくこととしております。また、建設産業における週休2日制やデジタル技術を活用した働き方改革の支援など、これまで県が行ってきた取組も引き続き注力してまいります。 今後も、建設業界や教育機関と連携協力し、持続可能な建設産業の実現に向けて、しっかりと取り組んでまいります。  〔橋口海平君登壇〕 ◆(橋口海平君) 亀崎部長から力強い答弁をいただきました。ありがとうございます。 建設業協会青年部の新会長であります有田さんのほうから、建設産業の魅力を今まで以上に若い世代に発信していきたいということをおっしゃっておりました。ぜひ、青年部の皆さん方ともしっかり連携を図りながら、小中高校生に向けて、魅力や役割を発信できればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 そしてまた、現在、新3Kプロジェクトというものを行っておりますが、そもそも3Kという言葉は、私たちの時代も使っておりませんでした。多分、今の若い世代は3Kの意味すら分からないと思っております。多分、テレビの3Kだったり4Kだったり、そういったことを思う若い世代が多いんじゃないかと思いますので、そういったところも、若い世代とネーミングとか、そういうところも考えていければと思っております。 また、心配していることもあります。現在、復旧、復興の公共工事を除いて、ほとんどが週休2日になっていると思いますが、民間の工事は週休2日ではありません。何が言いたいかと申しますと、現場で働く職人さんの方々は、民間の工事も行っている方がほとんどなので、結局、週休2日ではありません。休んだ分給料が減るという話もありますが、週休2日を望む声が多い若い世代には、職人さんを目指す人材が減るのではないかと心配しているところです。職人さんがいなければ工事は進んでいきません。答えを見つけることは簡単ではありませんが、ぜひ建設業協会のほかにも専門工事業など様々な団体とも意見交換を行って、地域の安全を担う人材の確保を行っていただければと思っております。 続きまして、PFIの推進について質問します。 もう皆さん御存じかと思いますが、PFIとは、プライベート・ファイナンス・イニシアチブ、それぞれの頭文字をとってPFIと言います。公共施設等の建設、運営、維持管理に民間の資金、ノウハウを活用することで、良好なサービスの提供や財政負担の軽減を実現するものです。そのほとんどが、民間施設の整備や民間サービスの提供が併せて行われることが多いとのことです。 似たような言葉でPPPとありますが、これは民間の力を公的サービスに有効活用する事業です。そのPPPの中で、PFI法に基づいて行われるのがPFIでありますが、他のPPPには、指定管理者制度や包括的民間委託、公有地や施設の貸与等が挙げられます。 PPP、PFIの効果としては、大きく3つあるのではないかと考えます。1つ目が良好なサービスの提供、2つ目が財政健全化、3つ目が経済活性化です。 1つ目の良好なサービスとしまして、企画、計画段階から運営に至るまで、民間のアイデアを最大限活用できる発注方式であり、特に、地域企業のノウハウを生かすことで、市民が喜ぶ施設を建設、運営できるからです。 2つ目の財政健全化としましては、設計から運営まで、長期一括発注で経費削減の効果があります。建設費等を長期にわたって延べ払いすることや収益施設の併設により節約も可能であります。 3つ目の経済活性化に関しては、受注者である企業グループの構成企業は、内部留保等を活用した出資等を通じ、長期の収益源の確保や新たなビジネス開拓が可能となります。このようなことが大きな効果ではないかと考えます。 ここでスクリーンを御覧ください。(資料を示す) 日本におけるPFIの実施状況のグラフですが、これを見てみますと、令和2年度末時点で累計875件となっております。 次に、都道府県について調べてみますと、件数で申し上げますと、平成25年には98件だったのが、令和3年には157件と増加しております。また、平成25年に実施していたのは28都道府県だったのですが、令和3年には35都道府県が実施しており、こちらのほうも増加しております。 ちなみに、本県では実績はありません。一時期、リーマン・ショックで件数が増えなかったのですが、その後、間違いなく増加傾向にあります。 最近では、Park-PFIという、公園を民営化したような動きもあります。例えば、静岡県沼津市では、少年自然の家がリノベーションされ、平成29年に新たな公園一体型複合宿泊施設「INN THE PARK」に生まれ変わりました。こちらは、球体型のテントだったり、雨天でも緑を眺めながらゆったりとした時間が過ごせるサロンカフェなど、自然を身近に感じながら、より豊かな時間を過ごしていただくための施設やサービスを提供しているそうです。 ほかにも、福山市の中央公園は、公園内にガーデンレストランや休憩スペースとなるあずまやなど新たに整備し、レストランのテラスでは、公園の緑を楽しみながら、開放された空間で食事を楽しむことができ、あずまやでは、楕円形のベンチがあり、家族や友人同士で楽しく過ごせる施設となっているそうです。また、キッチンカースペースでは、キッチンカーを出店することができます。こちらのほうは、もともとにぎわいがあまりなかった公園がにぎわいが出てきて、その益金で公園の維持管理費を賄っているそうです。 このようなにぎわい創出のPFIのほかにも、珍しいものでは、佐倉市立の小中学校、幼稚園空調施設をPFIで整備した事例もあります。このように、PFIの取組も着実に増え、バリエーションも広がっていると思います。 現在、人口減少や新型コロナウイルス感染症への対応等により、国及び地方公共団体の財政状況が厳しさを増している中、今後、多くの公共施設等が老朽化による更新時期を迎えてしまいます。 そこで、効率的かつ効果的に良好な公共サービスを提供するだけでなく、新たなビジネス機会の創出等による地域活性化等の実現を図りつつ、公的負担の抑制を図るため、PPP、PFIの導入が求められるのではないのでしょうか。 国において、令和3年6月にPPP/PFI促進アクションプランを改定し、現在、地方公共団体へPPP、PFI導入促進に向けた積極的な支援等を実施しているとのことです。しかし、地方公共団体におけるPPP、PFIの導入事例には大きな差があり、進んでない地域が多いそうです。 そこで質問です。 先ほど述べたように、現在、日本におけるPFIの数は、令和2年度末時点で875件で、着実に増加しているところであります。本県でも、県民サービスの向上や公的負担抑制の観点等から、インフラの整備や維持管理等における民間能力の活用が重要と考えていますが、これまでの取組についてお聞かせください。 また、現在、全国各地で地域プラットフォームや内閣府、国交省と協定を結んだ協定プラットフォームが形成され、官民対話等を通じて、地域の様々な事業分野の民間事業者の企画力、提案力、事業推進力の向上を図り、その能力や提案を活用したPPP、PFI事業の形成につながっていると聞いています。 そして、令和3年6月に、内閣府及び総務省の連名で、PPP/PFI手法導入優先的検討規程の策定に関する要請が、各自治体に発出されたところであります。 県では、この手法導入優先的検討規程を策定済みとのことですが、今後、プラットフォームの活用も含めて、PFIの取組をどのように推進していくのか、お聞かせください。 以上、総務部長にお尋ねします。  〔総務部長平井宏英君登壇〕 ◎総務部長(平井宏英君) 必要な公共施設等の整備を効率的かつ効果的に進めるとともに、新たな事業機会を創出し、地域経済の活性化につなげるためには、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用していくこと、すなわちPFI等の手法を活用することは、大変効果的であると考えております。 県では、平成29年3月に公共施設整備事業への多様なPPP/PFI手法導入検討要領を策定し、事業費が総額10億円以上の施設整備について、PFI等の手法の導入が適切かを従来型手法に優先して検討することにいたしました。 要領の策定後、緊急性が高い熊本地震からの復旧・復興事業が多く、早期着手を優先してきたため、PFI導入の検討をする機会がございませんでした。ようやく、令和2年度に熊本県立高等技術専門校の建て替え事業へPFI導入を検討いたしました。 検討の結果は、有利な起債の活用が可能であったことや、施設の性質上、取組の範囲が設計、建設や維持管理の業務に限定されたことから、新たな事業機会の創出や経費の削減効果が見込めず、直接発注工事を選択することになりましたが、貴重な経験を得る機会となりました。 また、地域プラットフォームにつきましては、熊本市が主催する熊本市公民連携プラットフォームに参画し、意見交換や事例研究等を行ってまいりました。これまでに31件の検討がなされておりまして、PFIが活用されたものが1件でございます。今後も、この仕組みを活用して、県としてもノウハウを蓄積していきたいと考えております。 PFI等官民連携の積極的導入は、施設管理の基本方針である熊本県公共施設等総合管理計画にも位置づけております。今年度は、官民連携による県有財産利活用推進事業において、天草エリアに所在する老朽化した職員住宅の更新を検討することとしております。 今後も、大型施設整備においては、プラットフォームも活用しながら、PFIの手法を優先して検討し、官民連携の手法の導入により積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ○議長(溝口幸治君) 橋口海平君。――残り時間が少なくなりましたので、発言を簡潔に願います。  〔橋口海平君登壇〕 ◆(橋口海平君) ぜひ、県外の取組なども参考にしながら、PFI、民間の力も活用していただければと思います。 最後に、水前寺2丁目宿舎、いわゆる知事村について要望します。 令和3年2月議会で、増永先生が知事村について質問をしました。知事は、当時、27戸のうち12戸入居で、5戸は打合せ等のスペース、知事公邸は、外交上有効である、活用については、宿舎として整備、活用あるいは県民の憩いの場、大規模災害時の避難場所、地域の利便施設などが考えられる、手法は、県の直接使用、民間貸付け、売却、これらの組合せも可能で、最も有効な活用を幅広く検討すると答弁されました。 ぜひ、前向きに検討してほしいのですが、私の思いは、私は、幼い頃からこの付近で遊んでおりました。水前寺成趣園は細川忠利公が御茶屋を置いたのが始まりで、忠利公のときに完成した、とても趣深い回遊庭園です。ここの一帯は、数えれば切りがないほど歴史と文化にあふれた町です。ぜひ、そこにある知事村ですので、どうか地域に合った伝統や歴史に触れられるような施設等も考えていただきまして、利活用を前向きに検討していただきたい、そのように思っております。 以上で本日準備していた質問を終わらせていただきますが、どうか皆様方、今から始まります参議院議員選挙、とても暑かったり雨が降ったり湿気が高い時期だと思います。熱中症にはならないようにくれぐれも気をつけて、共に戦って、この日本、そして熊本を元気にしていただければと思います。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(溝口幸治君) この際、5分間休憩いたします。  午前11時休憩    ――――――○――――――  午前11時11分開議 ○副議長(髙野洋介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 磯田毅君。  〔磯田毅君登壇〕(拍手) ◆(磯田毅君) 皆さん、こんにちは。八代市・郡区選出・立憲民主連の磯田毅です。どうぞよろしくお願いします。 2年以上続く新型コロナ感染の影響で、私たちの行動も、そして社会構造も大きな変化を余儀なくされています。さらに、ロシアのウクライナ侵略によって、社会の持続性が確固たるものでないことも浮かんできました。このように不安が高まってくる中、県民総幸福量の最大化を目指す蒲島県政の地方創生に向けた取組について議論してみたいと思います。 地方に点在する市町村は、人口減少や高齢化が止まらず、過疎化の問題に悩まされています。人の数がまばらになり、社会が縮小する過疎の問題は早くから指摘され、その対策として地方創生が叫ばれました。しかし、過疎を食い止めることは難しく、依然として我が国の大きな課題となったままです。 今回は、そういった地方の過疎を食い止め、地域の活性化にどうつないでいくのかといった難題に挑戦してみようと思います。さらに、地方の基幹産業とされる農林水産業や地元の空き家の利活用についても取り上げたいと思います。 では、まず初めに、地方創生の実現について、知事にお尋ねします。 総務省は、令和2年の国勢調査から、財政支援を伴う過疎市町村の数を、昨年の820団体から今年65を加えて885団体としました。全国1,718市町村の半数を超え、依然として過疎が止まっていないことを示しています。 過疎は、県内でも着実に進んでおり、今回、人吉市と阿蘇市、南阿蘇村の全部、八代、玉名、菊池の各市と氷川町の一部が過疎地域に追加されました。合志市や菊陽町など一部を除き、市部でも過疎が進んでいることが分かります。 こういった過疎問題に対し、それぞれの自治体は、まち・ひと・しごと総合戦略を練り、過疎の進展を食い止めながら、町の活性化につなぐ努力を続けています。 政府も、過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法を延長し、補助率のかさ上げや交付税措置の追加など、様々な対策を進めてはいますが、まだその効果は見えていません。対策への予算は10年前に比べ約1.8倍と増えており、今後も人口減少や都市部への集中が進めば、財政負担はさらに増えていくものと予想されます。 過疎を食い止めるには、まず社会減、つまり若者の地方離れを減らすことが要点だと言えますが、経済の弱肉強食化によって地場産業は縮小して雇用が失われている現在、それは大変難しいだろうと考えます。 ところが、最近高まってきた気候変動問題やコロナ禍の問題を契機に、生活スタイルを見直す若い人が増え、都市部から田舎に移る、いわゆる田舎暮らしを望む人が出てきました。こういった若者の移住、定住は、過疎に悩む地域の将来に向けて大変明るい光です。実例として、県内の過疎に悩む山都町では、空き家バンクを核に、6年間で100件を超す転入者があったと聞きます。 このような動きは、国も既に始めており、都市部から過疎地域に住民票を異動し、支援活動を行う地域おこし協力隊という制度も設けています。昨年は、全国で1,085の自治体が受け入れ、現在は、総勢6,000人近くが活動しているそうです。隊員の待遇は自治体により様々ですが、隊員1人当たり最大年480万円の財政措置があり、任期は1年ないし3年と少し短いのですが、隊員のおよそ6割が定住につながっているそうですので、こういった活動の広がりが期待されます。 熊本県は、阿蘇や天草の大自然、そして人吉・球磨の緑豊かな自然、それに清流あふれる河川や良質な天然温泉の宝庫でもあります。このように、人を呼び込む潜在能力は非常に高い県だと思いますので、こういった地域おこし協力隊のような都市部からの移住、定住につなぐ取組には、もっと力を入れるべきだと思います。 ところが、最近になり、日本が輸入に頼る食料や原油などの原材料価格が、コロナ禍や急激な円安も重なり、大幅な値上がりとなっています。そして、まさかと思えるロシアのウクライナ侵略によって、世界の平和は重大な危機に陥り、コロナ禍にあえぐ世界経済をより一層不安なものにしました。 先日、国連の事務総長は、数か月で世界的な食料不足の不安に直面するとも訴えています。日本では、特に、小麦やソバなどの輸入穀物価格が高騰して、食料品の大幅な値上げが始まっており、国民生活に大きな影響が出るのは必至と思われます。これまでのようにお金さえ出せばいつでも何でも手に入るといった状況は、今後大きく変わってくるでしょう。国際的に広がる食料安全保障の動きと大幅な円安によって、食料品価格の値上がりは当面続くだろうと思われます。 地球温暖化の影響も併せて考えると、自由貿易への信頼が弱まり、食料の確保を確実にする食料安全保障の考え方が強まってくるものと思われます。だとすると、この動きは、食料のふるさとである地方の創生を後押しする追い風に思えます。 ところで、最近になり、この過疎について面白い動きがあることを知りました。持続可能な地域社会総合研究所の藤山浩さんという方が、日本農業新聞に5回ほど連載された記事です。それによると、以前日本創成会議で消滅の可能性が高いとされた自治体の中に、2020年の国勢調査で、4歳以下の子供の増加率が5年前より増えた自治体上位20に15も入っているのです。本県では五木村が5位に入っていますが、五木村の伸び率は、同じく56.9%と驚くほど高くなっているのです。藤山さんは、この動きを縁辺革命と名づけていますが、この動きに注目したいと思います。 藤山さんによると、過疎の実態は、離島や山間部の小規模町村の縁辺から既に地方都市へと移っており、深刻に受け止める必要があります。過疎を食い止めるには、毎年人口の1.2%の若い人を定住に結びつくことができれば、人口の安定化が実現するそうですので、毎年、せめて1%、100人に1人の割合で若い人を呼び込むことができないかと考えます。 ただ、全域が過疎指定の713市町村に限っても、毎年およそ10万人の定住増加が必要だと計算されますので、こういった移住、定住への支援はもっと進める必要があると思います。 そこで、蒲島知事にお伺いします。 過疎の現状と地域の活性化に向けた取組等を踏まえた上で、最大の課題である地方創生の実現に向けて、どのように考えておられるのか、お尋ねします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 私は、人口減少社会の克服という大きな課題に立ち向かい、本県の地方創生につなげていくためには、移住、定住を進めていくことがとても重要だと考えています。 折しも、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、人の流れは変わりつつあります。 東京都では、令和2年から転出者が転入者を上回る転出超過の月が目立つようになりました。一方、本県では、令和3年の転出による人口減少が大幅に縮小しています。 この新型コロナウイルス感染症による社会の変容をチャンスと捉え、熊本が持つ強みを生かして、熊本への人の流れを創出することが重要であります。 そのため、本県では、移住相談窓口の設置をはじめ、移住相談会の実施、移住者向けの住まいの支援など、移住希望者のステージに応じ、様々な施策を展開してまいりました。 今年度は、さらに新たな取組を進めることとしています。 まずは、広域的な空き家バンクプラットフォームの構築であります。県内の空き家情報を広域的に検索できるシステムの検討を進め、移住希望者の利便性の向上を図ります。 次に、福岡への移住相談窓口の新設です。福岡県は、本県との間で転出、転入が最も多く、本県にゆかりのある方が多いことから、新たに常設の相談窓口を設置し、移住希望者に対する迅速な相談対応に努めてまいります。 また、過疎地域では、移住、定住に向けた様々な取組が進められています。 五木村では、子育て支援や住宅支援などをしっかりと進められており、議員御指摘のとおり、4歳以下の子供の数の増加につながっています。 また、地域おこし協力隊についても、現在200名を超える会員の皆様が県内で活躍され、任務を終了された隊員のうち、全国平均を上回る約7割の方が県内に定住されています。 過疎地域を取り巻く環境は、依然厳しいものがあります。一方で、若者の田園回帰の動きなど、地方に対する関心が高まっていることも事実です。 さらに、ウクライナ危機といった世界的な流れを見ると、私が提唱する5つの安全保障の中で、特に食料安全保障の重要さが増しています。全国有数の農業県である熊本県の強みを生かして、働く場の創出をはじめ、移住、定住の取組をさらに強化して、地方創生を着実に進めてまいります。 また、これに加えて、TSMCの熊本進出の経済安全保障に貢献するとともに、熊本の人口増に貢献すると思います。この人口増が県内全域に波及することを、これから県政の重要課題として考えていかなければいけないと、このように思います。  〔磯田毅君登壇〕
    ◆(磯田毅君) ありがとうございました。 人口減少は、地方の共通問題だと思いがちですが、実は都市部である熊本市でも始まっており、日本社会は人口ボーナスという成長の時代から縮小の時代に入ったことを強く認識する必要があります。これまで成長する中で築いてきた制度や習慣、あるいは常識を見詰め直す大きな転換点を迎えているように感じます。 県民総幸福量の最大化を求める県としては、社会の縮小を緩やかなものにして、社会の成長を量から質に転換し、ネガティブに思える縮小を多様性あるポジティブな社会にすることが求められます。そのためには、若者が地方に目を向けるような環境をつくり出さなければなりません。地方創生の実現は、その成否にかかっていると思いますので、知事にはその点を強くお願いしまして、次の質問に入りたいと思います。 家族農業の推進についてお尋ねします。 過疎をめぐる動きとして、都市圏から地方に若者を呼び込み、移住、定住につなごうという取組が注目されています。家業を後継できない状況が続き、都会に行くしかない若者の流出が常態化している地方にとって、都市への外部委託は仕方ない面もあります。 ただ、農業、農村の実態からすると、外部からの就農支援や都市圏からの呼び込みだけでは、農村の人口の安定は少々無理だと考えられます。少なくとも今残る農家に持続してもらえるような施策を考え、社会減を幾らかでも減らせないものかと考えます。 家族単位で営む家族農業は、私の周りを見渡してもほとんどがそうですし、減少が続いているとはいえ、販売農家もまだ多く健在しています。少数雇用の農家も含むと、家族農業は、食料供給に占める割合も高く、しかも女性や高齢者が働きやすい場であること、また、近代化された大規模農業より環境への負荷が小さいこと、さらに地域内の相互扶助や文化的・社会的価値を守るなど、地域社会を守る上で、まだまだ重要な存在です。 このような考え方は、国際的に広がる新たな潮流として全会一致で可決された国連の家族農業の10年に見ることができます。家族農業の10年は、SDGsと密接な関係にあり、国連加盟国は、この家族農業の10年を通じ、各国ごとに家族農業がSDGsに貢献できる環境をつくる責務を負うこととなっています。 また、家族農業の10年の共同事務局である国連食糧農業機関と国際共同基金は、家族農林漁業者と各国の行動計画を支援することを目標にしています。この家族を中心とした1次産業を支援する重要性を世界中が認めていると言えます。 このような捉え方は、近代的・企業的農業の先進国である西欧でも広がっており、小さな農家への再評価が始まりました。日本農業の理論的柱である農山漁村文化協会、農文協も、農家の在り方として、自給型小農複合経営を提案していますので、内外の一致した見方として、家族農業への評価が高まってきているのです。 先ほど触れましたが、世界的な資源高の中で突然始まったロシアのウクライナ侵略は、世界中で資源や食料の急激な高騰を招きました。日本でも、自給率が特に低い小麦や大豆、トウモロコシなど、農産物の安定供給に見直しを迫られるという事態になっています。これまで輸入に大きく頼ってきた穀物や畜産の餌などの値上がりから、大半の食料品が夏から秋にかけて大幅に値上がりすることが見込まれており、物価高騰の直撃を受ける私たちは、生活の不安におびえています。 この影響は、農業にも及んでおり、原油と資源の高騰は、暖房費や運賃だけでなく、ビニールや肥料なども急激な値上がりが予定されており、農家は不安を隠せないでいます。地元の農協によると、1年前に比べ、重油で3割以上、ガソリンは1.5割、ビニールも1.5割から2割の値上がりになっています。 特に、これから水稲や野菜などで需要が高まる肥料は、軒並み5割から9割の値上がりが予想されており、生産に影響が出ないかとても心配です。みどりの食料システム戦略は、化学肥料の半減を目標としていますが、2050年までに達成するというもので、農家の対応は間に合う余裕があります。しかし、今回の値上がりは急激で範囲も広く、年に一作の農家は、その対応が難しく、深刻な影響を受けるものと見ます。 農家経済を圧迫する状況は、何も資材の高騰ばかりではありません。県内で活躍している外国人実習生の環境にも変化が起きています。もちろん新型コロナの影響が大きいのですが、6月に入って少しずつ改善しているようで、影響は小さくなっています。 実は、制度の大きな要因である実習生の給与問題が大きくなってきているのです。円安の影響で日本の賃金が低くなり、競争力が弱くなったせいで、相対的な競争力が弱まっているのです。 最近、オーストラリア政府が交わしたベトナムとの覚書は、今年4月から年間約1,000人のベトナム人農業従事者を受け入れるというもので、基本給は、日本円で月30万円から37万円だと聞きます。日本の実態からすると、実に約2倍の差になります。 外国人実習生をめぐる競争が強まり、弱いと日本を選んでもらえなくなり、結果的に労働力の国内自給を迫られるかもしれないのです。つまり、人も物も外部に依存する脆弱な農業ではなく、食料の安定につながり、経済の循環や地方の雇用に大きく貢献する家族農業の重要性が求められてきていると考えます。 そこで、農林水産部長にお聞きします。 持続可能な社会の実現に大きく貢献する家族農業の推進についてどのように取り組まれるのか、お尋ねします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 本県では、農業生産法人や広域農場など、全国のモデルとなるような大規模で生産性の高い農業が展開されている一方で、認定農業者の9割は家族経営体です。 このような本県農業の現状を踏まえ、県では、食料・農業・農村基本計画において、将来の経営目標とすべき44のモデル経営類型のうち32類型は家族経営体を念頭に設定し、本県農業の中核となる担い手として位置づけております。そして、これらの担い手が稼げる農業とゆとりある経営を実現し、持続的に農業を営んでいけるよう、1つ目に、生産性の向上や労働環境の改善、2つ目に、次世代の担い手育成等に取り組んでおります。 まず、1つ目の生産性の向上や労働環境の改善につきましては、限られた経営面積でも家族経営体が高収益で効率的な農業経営となるよう、新品種、新技術の開発や普及活動を通じた農業技術、経営力の向上等を支援するとともに、スマート農業の導入にも積極的に取り組んでおります。 次に、2つ目の次世代の担い手育成につきましては、後継者となる新規就農者の確保、定着のための支援や第三者を含めた経営継承に力を入れております。 家族経営体の場合は、親から子への家族間継承が主となります。そこで、今年度国が新設した新規就農者の初期投資を支援する経営発展支援事業を最大限活用し、親元就農を促進することで、次世代への着実な継承を支援してまいります。 現在の燃油や生産資材の高騰は、農業者にも大きな影響を与えております。このため、国の各種セーフティーネット制度の加入促進と併せ、県としても、燃油や化学農薬、肥料を削減する技術とハウス内への内張りカーテンの設置など省エネ資機材の導入を支援することで、リスクに対応した持続性のある農業経営の転換を進めております。 今後とも、家族経営の農業者が将来にわたり安定的に農業生産を行えるよう、それぞれの生産現場の実情を踏まえた支援を進めてまいります。  〔磯田毅君登壇〕 ◆(磯田毅君) 家族農業の持続は、まず後継者がいることが前提になります。その前提が崩れている今、なぜ崩れたのかをよく考えると、おのずから答えは決まってきますが、私は、農家所得が上がらず安定しないことに一番の原因があると思っています。 答弁にあるように、生産性の向上は無論大事ですし、コストを下げる努力も必要でしょう。スマート農業の導入も確かに大切です。しかし、肝心の農業所得に一番重要な価格政策や所得を保障する仕組みが弱く、コストを下げることを優先する農政では、家族農業の持続はとても無理だと思います。持続を図るのであれば、まずこれまでの農政を検証することです。命を支える食料の安全保障は、農家の持続につながり、地方創生につながるということを強調して、次の質問に入ります。 自伐型林業の推進についてお聞きします。過疎が最も進んでいる中山間地の振興についてお聞きします。 熊本県は、森林面積が6割を占め、木材生産でも全国4位を誇る林業県です。森林は、木材生産だけでなく、水を育み、災害を防ぎ、温暖化を防止する働きと同時に、私たちに癒やしを与えてくれる貴重な場所です。 豊富な雨量と温暖な気候に恵まれた我が国は、戦後植林された杉やヒノキなどの人工林が50年を過ぎ、その多くが伐採期を迎えています。1年間で自然に増える森林の蓄積量は、国内消費の4分の3を賄えるほど世界有数の森林大国になっているのです。 しかし、現在、令和元年の統計によると、年間に伐採される山林の面積は全国で8.8万ヘクタールなのですが、そのうち再造林されるのは3割程度の2.9万ヘクタールです。このままでは山林の持続が難しくなるという厳しい状況です。 再造林できない理由は、伐採しても木材価格が安く、植林に充てる十分な経費が出ないことにあります。 例えば、50年生の杉を全部切る皆伐だと、1ヘクタール当たり約400立方メートルの木材がとれたとしても、立方メートル当たり1万円の相場だと売上げが400万円になります。伐採にかかったコストを差し引くと、約250万円かかると見られる再造林の費用は出ません。 このように、稼げない林業が広がるにつれ、1955年頃におよそ52万人いた林業従事者は、現在4万人近くにまで減って、山村の過疎化につながっているのです。 県は、林業の成長産業化に向けた取組として、新しい技術や木質バイオマスの普及などに取り組んではいますが、現場では、当面の利益を生むための大規模な施業が行われています。特に、広域にわたる皆伐は、土砂災害を起こしやすく、実際に、北小国の山林に降る林地雨量を調べたデータでは、林地外の雨量に比べ13.5%も少なかったという結果に、山林は雨量を減らし、防災に貢献していることを証明しています。 明治維新前後、銘木とされる奈良県吉野杉に学んだドイツは、現在も、自動車産業より林業やその関連産業の就業人口が多いと聞きます。吉野地域では、江戸時代から始まった山守という山林を資産として大切に管理する制度があったそうですが、残念なことに、日本ではもう見られず、条件の違うドイツで続いていることに驚きます。 ところが、最近になり、長伐期多間伐という長い期間にわたり少量の間伐を繰り返す自伐型林業という形態が注目されていることを知りました。ある人は、このような間伐方法を10年越しで19回繰り返した樹齢200年の木だと、皆伐より4倍から5倍の1ヘクタール当たり1,500立方メートルの蓄積量があると言われています。生育のよい木を残しながら間伐を繰り返せば、間伐材でも稼げて、価格の高いA材も生産でき、再造林の必要もなくなって、いわゆる稼げる林業が実現するのです。 全てを切る皆伐は、大規模なものが多く、大型林業機械の入れる広い作業道を必要とします。ところが、施業後は、風倒木被害や土砂災害の原因になりやすく、大きな問題となっています。2年前の令和2年7月豪雨で数多く起きた土砂崩れも、この広い作業道や皆伐が原因だったと指摘する専門家もいます。 県は、緑の流域治水の一つとして、球磨川流域の森林整備に取り組むとしていますが、私は、山の荒廃と災害につながりやすい大規模施業をここで見直し、自伐型林業を積極的に推進するべきと考えます。 自伐型林業を30年以上続けてこられた四国の橋本さんは、自伐型林業は壊れない作業道造りがポイントになると言われます。2メートルから2.3メートルの狭い幅で密に入っている橋本さんの作業道は、これまで造られた30キロメートルのうち数メートルしか壊れなかったといいます。細くても壊れない作業道は、間伐や枝打ちの手入れがしやすく、管理が行き届けば、太陽の光が地面に直接届いて広葉樹が生え、植生や生態系が戻るということが分かっています。林野庁は、昨年になって、この自伐型林業を認め、公的文書に初めて明記しました。 壊れない作業道造りは、2人で作業ができ、小型のバックホーとチェーンソー、それに2トントラックがあれば、1日30ないし40メートルの距離を造れるそうです。ただ、作業道造りは、山の地質や形状などから方向を見定める力量が求められますので、現場での実地指導を含め、人材教育は特に必要となります。 鳥取県の智頭町で長く町長を務められた寺谷さんの話では、自伐型林業を希望する若い人たちが町への移住につながり、高齢化が進んでいた地域に元気が戻ってきたそうです。あわせて、若者の移住を応援する森のようちえん まるたんぼうも設置されており、園舎がなく、1年中を森の中で過ごすという驚きの自然教育だそうです。森の中では子供たちに主体性が育ち、積極的な子になるそうです。 こういった自伐型林業は、過疎化し荒廃していく山間地にとって、多くの利点を持つ賢い地域おこしだと思います。しかも、専業だけでなく、兼業しながら多様な働き方もできることから、若者の移住、定住に結びつきやすく、過疎化に悩む中山間地にとって、明るく夢の持てる地域おこしだと考えます。そのためには、若い人が山林の収入に関係なく林業に就くことのできる環境が必要と考えます。 若者の移住、定住には快適な住まいの提供が欠かせませんが、山間部に多い空き家の利活用を併せて考えれば、就業する若者に適応した住まいの環境整備につながると考えます。 実際に自伐型林業を始めるに当たっては、山の持ち主から管理を任されて、家族単位で林業に携われるのが最も理想的だと思いますが、林業を始める最初の10年間は経営的に厳しい期間と考えられますので、その間は、自治体の助成が必要になってくるものと思います。 現在、全国53の自治体で、自伐型林業の地域おこしや作業道造りの支援を始めています。全国のネットワークも出来上がっていますので、自伐型林業は、これからますます広がっていくものと思われます。 そこで質問します。 こういった地域おこしにつながり、温暖化や災害を防ぐ自伐型林業の推進について、県はどのように取り組んでいかれるのか、智頭町の取組を御存じである木村副知事にお聞きします。  〔副知事木村敬君登壇〕 ◎副知事(木村敬君) 自伐型林業の推進についてお答えいたします。 大規模な森林整備については、森林経営計画に基づき、森林組合や林業事業体が計画的に実施しております。 一方、小規模な森林整備については、自伐型林業により間伐を繰り返すなど、きめ細やかな森林管理がなされることを期待されています。 そして、そうした役割分担の下、地域に密着した自伐型林業を目指す方が定住されることは、人口増加にもつながり、地域の活性化に貢献するものと考えております。 鳥取県の智頭町は、町の総面積の9割以上が森林で、江戸時代から続く有数の林業地ですが、林業の低迷とともに、町も次第に元気を失ってきました。 私が鳥取県に勤務していた10数年前のことですが、町は、活力ある地域づくりを目指し、町民参加型の智頭町百人委員会を立ち上げ、そこから出てきた様々なアイデアの実現に取り組んでおられました。 その一つに「軽トラとチェーンソーで晩酌を」を合い言葉に、軽トラでも運べる量の間伐材や林地残材を地域通貨杉小判として買い取るプロジェクトを始め、このプロジェクトは、今では本県の五木村などでも行われております。こうした取組などにより、小規模な林家や林業に従事したことのない方でも気軽に参加できる林業をなりわいの一つとする半林半X、半分林業で半分何かという新しいライフスタイルが生み出され、移住者の増加に寄与したと記憶しております。 さて、本県では、自伐型林業者を目指す方など、林業に就こうとする移住者の方々に対しまして、林業普及指導員が地域との橋渡しを行っております。 さらに、くまもと林業大学校において、これから林業への一歩を踏み出そうとする方を対象に、伐倒などの初歩的な技術を習得していただくための短期コースを設けるなどしております。 このような取組の中から、神奈川県から美里町に移住したお茶農家の方が自伐型林業を始められた例も出てきています。その方は、自伐型林業に興味を持つ方を対象に、町有林で研修会を行うなど、地元を巻き込みながら活発に活動を続けておられます。 森林の機能維持や地域活性化を進める上で、自伐型林業者の役割は大変重要であることから、引き続き、その活動の促進に向け支援を行ってまいります。  〔磯田毅君登壇〕 ◆(磯田毅君) ありがとうございました。 自伐型林業に私が注目したのは、自然から学ぶ合理的な考え方と深い知恵を与える自然との共生が、SDGsにつながる大きな思想だと思えたからです。自伐型林業は、単なる稼げる林業としてではなく、私たちが後世に残す資源であるだけでなく、社会全体を支える文化だと言えます。人の存在を超え、自然と向き合う自伐型林業に明るい展望が見えるようです。 答弁にあったように、荒廃した山林は、大規模な森林整備に頼らざるを得ない面があることも理解していますが、持続可能な林業の実現は、小規模林業であっても人の数で補うことができます。そのためには、まず人材の育成が必要だと思いますが、それと同時に、新しく林業に参入される若い人に、定着するまでの間は行政の後押しが必要かと思います。自伐型林業の推進に県の積極的な取組を期待して、次の質問に入ります。 家族漁業の推進についてお尋ねします。 県内の家族単位で漁を営まれる漁家は全体の約97%と、そのほとんどを占め、本県の水産業は家族で成り立っている産業と言ってもいいでしょう。県民の命を支え、食卓を彩る大切な食料である水産物は、ほとんどの魚種で漁獲が減り続けており、稼げる漁業から程遠い位置にあります。 2018年の漁業センサスを見ると、経営体数も30年間で約3分の2減って2,829となっており、5年前からしても638も減っています。漁業の種類別に見ると、県全体の中で、貝類と藻を取る経営体が約4分の1強の666で、その中には、今苦境にさらされているアサリ漁の経営体が447入っています。二枚貝の減少がずっと続いているにもかかわらず、依然、貝類の漁獲は重要な位置にあるのが分かります。 漁業経営体は、そのほとんどが家族単位と見られることから、水産業の振興は家族経営が持続可能になることが前提です。しかし、残念ながら、家族漁業の数は減る一方で、昭和の後半からしても、30年間でおよそ3分の1へと減っています。高齢化はもちろん進んでおり、減少率も5年間で21.7%と高く、その対策は急がれます。 これまで収入の多くを占めていた貝類の漁獲は、季節に応じ安定した収入源として、そしてかつては経営の柱でもあったと聞きます。ところが、現在、アサリやハマグリの漁獲は驚くほど減ってきており、アサリの産地偽装は、極端な不漁が発端となって起きた事件になりますが、ハマグリも、アサリに劣らず著しい不漁が今も続いているのです。 一方で、観光漁業に期待して漁協が取り組まれている観光潮干狩りは、今春に開放されたのは僅か3漁協のみで、過去数万人が訪れていたという宇土市網田漁協や毎年一般開放していた宇城市の松橋小川漁協も、今年は見送る方針だと聞きました。開放できたのは八代市の鏡、二見の漁協と有明海の荒尾漁協が限定的に開いたのみで、このように、二枚貝の不漁が観光漁業に大きく影響しているのが分かります。 熊本の豊かな食と持続可能な家族漁業を支える貝類の復活は、漁村の活力を取り戻し、地方創生につなぐ有効な手段だと考えます。 そこで質問です。 県は、家族漁業を支える二枚貝の早急な復活にどう取り組まれるのか、農林水産部長にお聞きします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) アサリやハマグリといった採貝漁業は、設備投資が少なく、高齢者や漁業経験が浅い若者などが、比較的容易に従事できる漁業です。 県では、これまで、アサリの資源回復に向けて、地元漁業者による資源管理の取組を支援するとともに、覆砂や耕うん、食害生物であるナルトビエイの駆除など、環境の改善に取り組んでまいりました。また、アサリの産卵量を増やすため、有明海では、令和元年度から令和3年度にかけて、13漁協と天然稚貝を集める網袋8,700袋を設置する母貝団地の形成にも取り組んでまいりました。 これらの効果もありまして、令和3年に35トンだったアサリの漁獲量は、今年、4月12日の出荷再開から5月末までの2か月間で既に50トンを超えております。 一方で、ハマグリにつきましては、平成25年に熊本県ハマグリ資源管理マニュアルを作成し、地元漁業者との勉強会を行うなど、普及指導に関する取組を行ってきました。緑川河口域においては、平成27年度から産卵期の禁漁や保護区の設置が行われるなど、積極的な資源管理が行われております。 その結果、令和3年の推定漁獲量は83トンで、また、本年も、5月末時点で既に38トンと、昨年同時期の漁獲量を上回っており、資源回復の兆しが見えております。 県では、有明海において、令和3年度までに設置したアサリの母貝団地の管理を継続しており、今年の春は、令和3年秋生まれの稚貝が、1平方メートル当たり数千個の密度で生息していることを、15漁協のうち14の漁協で確認しております。 今後、この貴重な資源を確実に漁獲につなげるためには、アサリが発生した干潟を網で覆い、波浪や食害から保護する対策が必要です。このため、県では、被覆網4ヘクタール分を準備し、7漁協の取組を支援したところです。 また、八代海においても、令和2年7月豪雨により激減した母貝を増やすため、令和3年度から4漁協と母貝団地の形成に取り組み、今年度は、さらに5漁協に拡大し、取組を進めていくこととしております。 漁業をなりわいとして成り立たせるためには、資源回復が欠かせないことから、それぞれの漁場特性に応じた資源管理や増殖活動の取組を引き続き推進してまいります。  〔磯田毅君登壇〕 ◆(磯田毅君) 実は、私がこの質問を考え始めたとき、執行部は、漁業資源を増やそうとし、新しい取組に踏み切っていました。ニュースで取り上げられましたが、魚種別の専門チームを立ち上げ、資源増殖を目指すという迅速な対応に、先を越されたような感じを受けました。このような取組は、家族漁業の復活にはぜひ必要な対策です。アサリの偽装問題が大きく取り上げられる中、アサリについては県条例も提案されていますが、やはり優先されるのは二枚貝の資源回復であり、漁家の所得安定です。 答弁で、今年は資源回復の兆しが見られるという明るい話もありましたので、数年後の成果に期待しながら、次の質問に入ります。 地方創生につながる住宅リフォームについて質問します。 国土交通省によると、民間の建築投資額は、ここ30年間で4割近く減っているそうです。国民生活金融公庫が、以前、主に小規模な建設業を対象に実施した建設業の経営活動に関するアンケートによると、10年前と比較した完成工事高の推移では、減少したと答えた企業が約65%もあり、従業者規模別だと、個人業主と見られる4人以下の小さな建設業が73.9%と減少の影響を最も強く受けていることが分かります。 国勢調査の結果も、工事高減少の影響で、建築に従事される大工や左官、電気設備や管工事など、いわゆる職人の方の数が大きく減っているのが分かります。それによると、全国の大工の就業者数は、1995年の76万人から2015年は35万人と、僅か20年間で半減しています。左官の就業者も、ピークだった1975年の約30万人から2014年にはおよそ3万人へと、10分の1になっているのです。60歳以上の割合も約40%と増えており、業界は、建設技能者と新規就業者が不足するといった課題を抱えていることがうかがえます。 このことは、青年技術者の技能レベルの日本一を競う技能五輪全国大会にも現れています。建設・建築部門の職種は、大工や左官、電気設備など10種類近くありますが、最近は、職種の数や参加人数、入賞者ともに減少しており、将来につながる課題として大きいものと考えます。 ところが、新型コロナ感染が続く中、外出の自粛やテレワークの普及で在宅時間が長くなったことから、自宅の居住環境を見詰め直す機会が増え、結果として住宅のリフォーム需要が高まってきているのです。ある大手メーカーでは、20年度のリフォーム事業の売上げが新築向けの2倍を超すほどの伸びだったそうです。 矢野経済研究所によると、2021年のリフォーム事業の規模は、前年比で3.3%増の6.7兆円で、2022年は対前年比で2.3%増の6兆9,011億円になると予測しており、新型コロナが続くことで、リフォーム事業の市場は、今後も底堅く推移すると見ています。 私は、このようなリフォーム需要の高まりは、地方の建築技能労働者にとって大きなチャンスであり、地方経済の活力にもつながる動きだと思います。地方創生を考えた場合、都市部から地方への若者の移住、定住を進めることはとても有効であり、若者が地方への移住、定住に際し、少ない負担で安心な生活ができる住まいは必要不可欠です。この場合、増えている空き家をリフォームしながら住まいを安く提供できれば、持ち主と移住者と地域経済の三方が得をするという、まさに地方創生にふさわしい取組だと考えます。これは環境にとっても優しい取組であり、進めていくべきと思います。 そこで質問します。 今後地方創生を進めていく上で、まず、地方経済の活性化につながる住宅リフォームの推進について、次に、移住、定住の促進に向けた空き家の利活用に関する住宅リフォームについて、土木部長にお聞きします。  〔土木部長亀崎直隆君登壇〕 ◎土木部長(亀崎直隆君) まず、地方経済の活性化につながる住宅リフォームの推進についてお答えします。 県では、持続可能な社会で暮らせる住環境の実現を目指し、住宅関係団体等と連携して、市町村とともに住宅リフォームの推進に取り組んでまいりました。 現在、県内の全ての市町村において、自宅のバリアフリー化、耐震化、移住者が行う空き家のリフォームなど、それぞれの目的に沿った助成制度が設けられております。 また、半数を超える市町村では、リフォーム工事の施工者を地元事業者に限定しております。その中には、助成金を地域で使えるクーポンで支給するなど、各市町村が独自の方法で、住宅リフォームを地域経済の活性化につなげる取組を行っております。 県としては、市町村がさらに創意工夫を凝らした事業を展開できるよう、これらの取組の情報共有を図るとともに、講習会や研修会の開催、相談窓口の設置など、住宅リフォーム推進の環境整備に努めてまいります。 次に、移住、定住の促進に向けた空き家の利活用に関する住宅リフォームについてお答えします。 県では、移住定住推進本部を設置し、関係部局が連携し、移住、定住に関する施策の推進に取り組んでおります。その取組の一つとして、移住、定住等の地域振興に活用するために空き家をリフォームする市町村に対し、助成事業を行っています。 南阿蘇村では、この事業を活用し、所有者から空き家を10年間無償で借り上げ、移住体験施設としてリフォームしました。本年1月に運用を開始したところ、若者世代を中心に、6月まで予約が埋まっている状態が続いております。 また、今年度からは、民間事業者が移住者のために空き家を賃貸住宅にリフォームする事業を支援する制度も創設したところです。 今後も、市町村や関係部局と連携し、地方経済の活性化につながる住宅リフォームや移住、定住の促進に向けた空き家リフォームの取組を進めてまいります。  〔磯田毅君登壇〕 ◆(磯田毅君) 地方だけでなく、都市部でも空き家の数は増え続けています。現在では、住宅のおよそ15%を超える勢いで、全国では、およそ850万戸にも上るそうです。中山間地の空き家を見ると、時代の流れに幾分かの悲哀も感じますが、私には眠る資源にも見え、もったいないという気持ちになります。空き家には様々な課題も残っていますが、空き家の利活用は、地域の活力を高めるよいきっかけになると思いますので、県の強い後押しをお願いしまして、次に行きたいと思います。 トマトの黄化葉巻病対策についてお聞きします。 本県の農業産出額でトップを占める野菜は、全国有数のトマトをはじめ、スイカやイチゴといった果菜類、キャベツやレタスといった葉菜類、あるいは大根、ニンジンといった根菜類など、全国に誇る野菜産地です。中でもミニトマトを含むトマトは、年間の出荷量が約13万トンで、全国のおよそ20%を占め、熊本の赤のイメージを支える中心的な野菜です。 国の補助制度によって、強風や大雨など自然災害に強い耐候性ハウスの普及もあり、生産は近年に増して安定しています。新型コロナウイルスの感染拡大で減っていた外国人実習生も、ようやく入り始めたようですので、生産を支える環境は整ってきているように思います。 ところが、順調と思われたトマト生産の現場では、昨年から今年にかけて大きな異変が起きました。トマト黄化葉巻病という病気が広がったのです。このウイルスに感染したら、その時点で生育が止まるという怖い病気です。外国から侵入したタバココナジラミという小さな虫が媒介し、薬剤で予防することがとても難しい厄介な病気です。特に、大産地である県南の八代と宇城地方での被害が大きく、そしてミニトマトより大玉トマトに被害が出ているようです。 県の聞き取り調査では、昨年の10月から今年3月までの出荷量で、産地によっては前年対比30%以上が減少するという被害が発生しています。30%という被害は、通常の利益率から換算すると、経営に大きなダメージを与えるというレベルになります。 トマトバブルと言われた好調な時期からすると、最近は販売価格が低迷し、バブルははじけたと言う人もいます。それに加えて、先ほど触れたように、生産資材の急騰も重なって、トマト農家は三重苦という大きな壁にぶつかっています。 そこで質問します。 本県の農業に大きく影響するトマトの黄化葉巻病対策について、県はどう取り組まれるのか、農林水産部長にお聞きします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) トマト黄化葉巻病につきましては、これまで、害虫による伝染を断ち切るため、栽培休止期間を十分に確保することや、ハウス栽培の防除3原則である害虫を入れない、増やさない、出さないを徹底することで、被害を最小限に抑え込んできました。 そのような中、昨年秋頃から、県内の主要な産地でトマト黄化葉巻病が多発したことから、県では、緊急に対策会議を開催し、県内主要産地における発生状況を把握し、薬剤による防除及び発病株の抜取りなどの対策を指導してまいりました。 今回の被害拡大は、例年に比べ気温が高く、害虫が多く発生したことに加え、基本的防除が十分なされなかったことが大きな要因であり、改めて生産者の意識を高めて、地域ぐるみの対策の徹底を図る必要があると考えております。 主産地の八代地域では、発生直後に、生産者をはじめ、JA、県等関係機関が一体となった対策会議を開催し、基本的防除対策を再確認するとともに、八代管内全12地区において組織を立ち上げ、全ての生産者が防除作業を徹底するよう、取組を進めております。 県では、この取組をトマト黄化葉巻病対策のモデルとして、他地域へ展開させるとともに、被害防止のための防虫ネットの導入を推進しております。また、野菜価格安定事業や収入保険等のセーフティーネット加入を促進し、農家の経営安定につなげてまいります。 今後とも、生産者や関係機関等が一体となった取組をしっかりと支援することで、持続可能な日本一のトマト産地づくりを進めてまいります。 ○副議長(髙野洋介君) 磯田毅君。――残り時間が少なくなりましたので、発言を簡潔に願います。  〔磯田毅君登壇〕 ◆(磯田毅君) つい先日、私の家にも、この黄化葉巻病の詳しい対策を示したカラー刷りのプリントが配られてきましたが、それにはきめ細かい対策も示してあり、関係機関の素早い対応に感謝したいと思います。 現在、収穫の終了時期を迎えている平野部の産地は、この対策をしっかりと守り、黄化葉巻病の撲滅につながるよう、懸命な努力を続けていってもらいたいと思います。そして、熊本農業をリードしてきたトマト農家に、コスト上昇の痛みと黄化葉巻病の被害が早く解決できるよう願いたいと思います。 今回は、農家出身の議員として、地方創生にかける期待と要望をお話ししてきましたが、これからもその視点を変えずに、まだ頑張っていきたいと思っています。 これで私の質問は全部終わりました。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(髙野洋介君) 昼食のため、午後1時10分まで休憩いたします。  午後0時10分休憩    ――――――○――――――  午後1時9分開議 ○副議長(髙野洋介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 竹﨑和虎君。  〔竹﨑和虎君登壇〕(拍手) ◆(竹﨑和虎君) 皆さん、こんにちは。熊本市第二選挙区選出・自由民主党の竹﨑和虎でございます。(発言する者あり)はい、ありがとうございます。 改めまして、竹﨑和虎でございます。 現在、熊本県においては、6年前の熊本地震、そして令和2年7月豪雨災害からの復旧、復興、それに加え、新型コロナウイルス感染症への対応、さらには県土の強靱化、TSMCの本県進出に係る取組、県産アサリの産地偽装等への対応など、重要な課題が山積しております。 この大切なときに、政治の停滞は許されません。熊本に生まれてよかった、そう実感してもらうために必要とされる社会の仕組みをつくり、新しい時代を県民の皆様とともに切り開いていきたいと、熊本県に生まれ、育ち、暮らす県民の一人としてそう思っております。 先日、6月4日は、長きにわたり県議会にお世話になり、ふるさと熊本を愛してやまなかった私の先代である村上寅美先生の五回忌でありました。私自身、村上先生には、時には厳しく、また、時にはさらにさらに厳しく育てられました。しかし、たゆむことなく御努力をされ、ふるさと熊本を導いていただきましたことに敬意を表し、そして今を生きる県民の代表として熊本県議会議員の職責を負託いただき、この議場に立っていることを胸に刻み、質問をいたしますので、蒲島知事をはじめ執行部の皆さんには、正面から向き合って議論し、御答弁いただきますようにお願い申し上げ、最初の質問に入らせていただきます。 アサリの産地偽装根絶に向けた県の決意について質問いたします。 本年1月22日の報道番組において「輸入アサリが国産に アサリ産地偽装の実態は」と題した報道があり、大きな社会問題となりました。 この問題は、アサリだけではなく、熊本県の農林水産物全体の信頼に関わり、本県の基幹産業である農林水産業に大きなダメージを与えかねない極めて重大な問題でありました。 2月1日には、農林水産省が昨年10月から12月に行った全国の広域小売店1,005店舗におけるサンプル調査結果において、熊本県産と表示され、販売されていたアサリ2,485トンに対し、2020年の熊本県漁獲量は28トンと流通量が約90倍あり、熊本県産と販売されていたアサリの31サンプルのうち、97%に当たる30サンプルが外国産の可能性が高いとの調査結果を発表し、産地偽装問題で消費者の信頼を大きく失うこととなりました。 このことを受け、同日、蒲島知事は、熊本県産アサリだけではなく、熊本のブランド全体への信頼を揺るがす危機的状況であるとし、産地偽装問題の解決に向け、強い決意とリーダーシップの下で、時間的緊迫性を持って、これまでにない対応が必要であると示されました。 この問題を非常事態と位置づけ、熊本県産アサリの緊急出荷停止宣言を発出し、約2か月間、県産アサリの出荷を停止しました。 また、2月22日には、産地偽装の根絶に向け、熊本県産アサリブランド再生協議会を立ち上げ、これまで4回の会議が開かれています。 さらに、政府が、アサリの原産地表示ルール、いわゆる長いところルールの一部を見直す厳格化を発表しました。 4月12日には、アサリ漁が再開され、県産アサリを確実に消費者の皆様へお届けするための仕組みである熊本モデルの実証が始まりました。県が認定した熊本県と福岡県の店舗で販売が再開されることとなりました。 また、6月11日からは、全国に向けて出荷が行われることになっています。 私自身、県議会の水産振興議員連盟の一員として、漁業団体の皆様や水産業に携わる皆様のところに足を運び、様々な御意見や御要望を伺ったり、産地偽装問題のあおりを受けた風評被害を払拭するために、県産ハマグリの販売会等に協力したりと、産地偽装の問題解決に向けて携わってまいりました。 その漁業団体の皆様からは、全国に向けた出荷に際し、県産アサリの販売を希望される、より多くの店舗が参加できるように、今回の熊本モデルを使いやすいものにすることも重要であるということを聞いております。 さらに、今議会に、輸入アサリを熊本県産と表示する産地偽装の根絶を目指す熊本県産あさりを守り育てる条例が上程されております。 県議会2月定例会において、我が党の溝口議長の代表質問において、蒲島知事より、従来の一般的な行政の対応を超えた知事の強い決意とリーダーシップの下で、時間的緊迫性を持って、産地偽装への対応の3つの原則に基づいて、二度とこのような事態が起きないよう、産地偽装の根絶に全力で取り組んでいくと、強い思いを示しておられました。 また、先日開催された第4回熊本県産アサリブランド再生協議会において、蒲島知事は、県産アサリの信頼を完全に取り戻すまでには、まだまだ長い道のりだと話しておられます。 そこで、アサリ産地偽装の根絶に向けてのこれまでの取組に対する所感と、これからの取組に対し、決意や意気込みを蒲島知事にお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) アサリの産地偽装問題は、私が目指す食料の安全保障を根幹から揺るがす大きな問題であり、県政の最重要課題の一つであります。 そのため、県では、アサリの産地偽装に対し、産地偽装アサリの一掃、徹底的な調査、取締り、純粋な県産アサリの流通戦略の3原則に基づき、関係者の皆様と一丸となって取り組んでまいりました。 まず、第1原則である産地偽装アサリの一掃については、熊本県漁連と連携し、2月1日に熊本県産アサリ緊急出荷停止宣言を行いました。この荒療治により、全国の店頭から偽装アサリは一掃されました。 また、2月8日には、国に対して、アサリ産地偽装対策に関する緊急要望を行い、産地偽装の根絶に向けた私の強い決意をお伝えしました。 その結果、国は、アサリの食品表示を見直し、いわゆる長いところルールから、偽装の温床として指摘されている蓄養を除外いたしました。 第2原則である徹底的な調査、取締りについては、産地偽装は犯罪という前提に立ち、産地偽装110番に寄せられた疑義情報に対し、国や熊本市と連携し、必要な調査、指導を行ってまいりました。 第3原則である純粋な県産アサリの流通戦略については、2月に熊本県産アサリブランド再生協議会を設置し、純粋な県産アサリを適正に流通、販売するための熊本モデルの構築に向け、取組を進めています。 そして、4月12日から、熊本モデルの第1ステージとして、県産アサリの出荷が再開され、約46トンのアサリが、熊本と福岡の374店舗の販売協力店へ出荷されています。 この間、熊本県漁連のアサリ入札価格は以前の約1.5倍となり、毎日売り切れる店舗もあるなど、売上げも順調だったと聞いています。 私も、4月17日には店頭でのPRを行い、県産アサリの出荷再開に対する県民の皆様の期待と喜びを直接肌で感じることができ、大変うれしく思いました。 そして、いよいよ明後日から販売協力店を全国に広げ、デジタル技術を活用し、漁獲から販売まで一元的に監視する熊本モデル第2ステージが始まります。この運用に当たっては、随時検証を行いながら、漁業者や最終的に消費者にとって、よりよいものになるよう改善してまいります。 このような様々な取組によって、産地偽装の根絶に向け、一歩ずつ前進しており、今後も、これらの取組を着実に進めてまいります。 次に、今後の取組についてお答えします。 県では、産地偽装根絶に向けた3原則に基づく取組を着実に実施するため、今定例会において、熊本県産あさりを守り育てる条例を提案しています。 この条例では、熊本県産アサリの信頼回復につなげるため、純粋な県産アサリを守り育て、適正に流通、販売する総合的な施策をお示しします。 具体的には、まず、漁場の保全、改善と県産アサリの育成を図るため、漁協が行う天然アサリを育む環境整備について、ソフト、ハードの面から総合的に支援します。 次に、県産アサリ販売協力店を認証し、熊本モデルの流通、販売の仕組みを構築いたします。 さらに、販売事業者には、取引記録などの書類作成とその保存を義務化し、原産地表示の厳格化を図ります。 この条例の目的を達成するため、併せて関係法令等を最大限適用するとともに、全国的な疑義案件への国による調査、取締りなどを要望してまいります。 今後も、私が先頭に立ち、産地偽装の根絶とくまもとブランドの信頼回復、そしてアサリ資源の回復に向け、漁業者をはじめ関係者の皆様と力を合わせて、全力で取り組んでまいります。  〔竹﨑和虎君登壇〕 ◆(竹﨑和虎君) 蒲島知事より御答弁いただきました。 この問題を県政の最重要課題の一つと位置づけ、知事の強いリーダーシップの下で、御答弁にあった3原則に基づき取り組んでいただいた成果が、あさってからの全国に向かっての出荷が始まることにつながったと思います。 昨日、県漁連において、県産アサリの全国出荷再開に向けた入札会がありました。しかし、前回より少し値を下げていたようで、漁連のほうからは、販売協力店の少なさが一因ではないかなあという声も聞こえてきております。 販売協力店を全国に広げるに当たっては、おっしゃったとおり、漁獲から販売まで監視する熊本モデル第2ステージとして、デジタル技術を活用するということですが、デジタルに苦手意識がある方には複雑なのではないかと、販売協力店募集への参加を見送るという話が聞こえてきておりますので、随時検討を行い、改善していくとの御答弁でしたので、県産アサリの販売を希望される全ての方にとって参加しやすいように、寄り添った形で進めていただきたいと思います。 また、今議会に上程されています条例の話もございました。知事が先頭に立ち、その目的である産地偽装の根絶とくまもとブランドの信頼回復、そしてアサリ資源の回復に向けて全力で取り組むとのことでした。漁業関係の皆さんも思いは同じであり、一緒に取り組んでいくと聞いております。 条例の目的達成に向け、国にも要望していくということでございましたので、私自身も一緒になって取り組んでまいりますので、よろしくお願い申し上げます。 続いて、水産振興、資源回復に向けた取組についてお尋ねします。 アサリの産地偽装問題について、事の発端は、アサリ資源の激減、すなわち、アサリが取れなくなったことが原因であると私は考えます。 熊本の純県産アサリの漁獲量は、2020年は、豪雨により海に大量の淡水が流入した影響もあり、28トン、また、2021年は、速報値で35トンであったと公表されております。全国シェア率が40%を占め、最盛期であった1977年の漁獲量6万5,732トンと比べると、およそ2,300分の1と激減しております。 また、2020年の県内水産物の漁獲量は約6万6,000トンとなっており、30年前と比べると半減しております。 私の選挙区である熊本市西区や南区は、水産業が主幹産業の一つであり、有明海において、アサリやハマグリ漁、ノリの養殖、また、うろこ漁に漁業者の皆さんが従事されています。 各漁協において、食害生物の除去、被覆網の設置、さらに保護区の設置や漁獲サイズ、漁獲量、期間を取り決めて資源管理を実施しています。また、稚エビや稚魚などの放流事業も行っています。海浜清掃も定期的に行い、環境保全活動にも努めています。 県においても、漁業者と一体となって、魚介類の増殖対策として、覆砂事業や作澪、干潟の耕うんなど底質改善を図る事業、ほかにも、食害対策として、保護ネットの設置や水の流れを還流化させる竹柵の設置など増殖対策にも取り組んでいます。 資源管理や回復の取組の主体は漁業者ですが、今回の産地偽装問題を契機に、これまで以上に、県と漁業者が一体となり、取り組むべきであると私は考えます。 県では、アサリの産地偽装問題を機に、去る5月16日に、水産資源の回復や専門人材の育成に向けて、魚種専門チームを発足されています。発足式では、木村副知事が、今までの取組をさらに見える化し、漁業者に寄り添う体制をつくっていきたいと述べられました。 そこで、地球温暖化の影響により、豪雨の多発や海水温の上昇など、自然環境が大きく変化する中、天然魚の資源回復や養殖業の生産性向上に向け、どのような取組を進められていかれるのか、また、どのような目的で魚種専門チームが設置されたのか、さらに魚種専門チームがどのような役割を担っていくのかを農林水産部長にお尋ねします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) アサリを含めた県内水産物の生産量は大きく減少しており、特に天然資源を漁獲の対象とする海面漁業の生産量の減少は深刻です。令和2年の生産量は、アサリの漁獲が最盛期だった昭和52年と比較して、約1割まで減少しております。 生産量の減少に伴い、漁業後継者の減少と高齢化が進行し、漁村の活力は低下しております。海面漁業を持続的に発展させ、漁村集落や多面的機能を維持していくためには、何よりも水産資源の回復が重要となってきます。 そのため、資源の再生産目標を定めるなど、科学的な根拠に基づく新たな資源管理の実践や、放流後の生残率を向上させる新技術の導入など、効果的な栽培漁業の推進が不可欠であり、市や町、漁業者と連携し、これらの取組を推進してまいります。 また、海面養殖業では、昭和52年に比べ生産量が2倍以上に増加し、全国有数の養殖生産県となっているものの、海面漁業と同様に、経営体数は減少しております。 加えて、燃油などの高騰、赤潮による養殖魚のへい死やノリの色落ち、労働者不足などの課題を抱えております。 そこで、養殖業の生産性向上のため、赤潮対策として監視体制の強化や被害防除の支援、スマート養殖業の推進によるコスト削減を図ってまいります。 資源の減少やアサリの産地偽装など様々な逆風の中で、こうした取組をさらに進めていくためには、漁業者や漁業団体の皆様との連携をより強化することが必要です。 そのため、漁業現場の声を県の施策に反映し、庁内の水産技術職員が所属部署を超えた横断的な取組ができるよう、二枚貝、ノリ、養殖魚、天然魚の4つの魚種専門チームを発足させました。 例えば、二枚貝専門チームにおいては、漁業者の皆様とアサリの分布や漁場環境の現状を共有し、漁場ごとに資源回復につながる取組を重点的に実践していきます。 また、ノリ専門チームにおいては、漁業者の皆様と連携して、現在の環境に適応した新品種の導入や新たな養殖スケジュールの実践に取り組みます。 これらの専門チームの発足は、将来の本県水産行政を担う水産技術職員の人材育成にも効果を発揮するものと考えております。 これまで以上に現場へ足を運び、漁業者の皆様の現状と現場のニーズを的確に把握し、専門性を生かした施策の企画、立案を実践していくことで、熊本の豊かな海づくりと稼げる水産業の実現を図ってまいります。  〔竹﨑和虎君登壇〕 ◆(竹﨑和虎君) 農林水産部長より御答弁いただきました。 魚種専門チームの発足を受けて、県漁連の藤森会長さんからは、漁業者の相談窓口ができてとても安心した、県と連携して水産業を発展させていきたいとお話しいただきました。 水産資源の回復こそが、後継者、担い手不足という問題を抱える漁村にとって活力を与え、産地偽装などの問題を一掃するものと考えます。 漁業現場の現状と現場のニーズを把握することが、水産振興施策を実施していく上で重要であり、そのことが、水産資源の回復とくまもとブランドの確立につながっていくと考えますので、執行部の皆さん方にも、稼げる水産業づくり、豊かな海づくりに全力で取り組んでいただきたいと思います。 それでは次に、食品ロス削減について質問いたします。 本年2月24日に、ロシアがウクライナに侵攻しました。もはや侵攻ではなく、ロシアによるウクライナ侵略であります。 一般市民の暮らす集合住宅に打ち込まれるミサイル、劇場や鉄道駅を砲撃する戦車、爆撃される市場、学校、病院、そして人道回廊が開かれないまま廃墟になっていく町、ウクライナの多くの人が家を追われ、水や食料、電力などのライフラインを失っております。ロシアによるウクライナ侵略は、重大な国際人道法違反であり、戦争犯罪であります。厳しく非難するとともに、一日も早くウクライナに平和が戻るよう、心よりお祈りいたします。 この侵略により、世界的な食料危機の懸念や食料安全保障の重要性が報じられています。ウクライナは、肥沃な農地が広がり、世界有数の穀物輸出国であります。しかし、ロシアに港を封鎖され、穀物の輸出が停滞しています。 このことを受け、インドが小麦の輸出を禁止すると発表したため、これまでインドから輸入していた国が他国から輸入しようと小麦の奪い合いになり、価格が上昇しています。国際連合食糧農業機関は、ロシアによるウクライナ侵略や燃料、肥料の価格高騰、気候変動による一部地域での生産量減少などが引き金となり、食料価格指数が過去最高の水準になっているとしています。 この価格高騰により高まる飢餓のリスクを減らすため、食品ロスと食料廃棄を減らすことが大変重要であると私は考えます。 本県でも率先して取り組んでいるSDGs、このSDGsの12に「つくる責任つかう責任」「生産者も消費者も、地球の環境と人々の健康を守れるよう、責任ある行動をとろう」とあり、「2030年までに、お店や消費者のところで捨てられる食料を半分に減らす。また、生産者からお店への流れのなかで、食料が捨てられたり、失われたりすることを減らす。」と目標が掲げられております。 農林水産業を基幹産業とする本県として、生産力を上げるだけではなく、まだ食べられる食品が、生産、製造、販売、消費等の段階で日常的に廃棄されており、大量の食品ロスが発生し、その削減が大変重要な課題だと考えております。 国において、食品ロスの削減の推進に関する法律が令和元年5月31日に公布され、10月1日に施行されました。この法律では、都道府県に対して、食品ロス削減推進計画の策定が努力義務として定められております。 スクリーンを御覧ください。(資料を示す) 本県では、令和4年3月に熊本県食品ロス削減推進計画を策定しました。これは、推進計画のロゴマークとなっており、消費者の行動変容につながる4つの行動を、食品ロス削減アクション四つ葉のクローバー運動として重点的に推進しましょうと呼びかけているものであります。 この推進計画では、本県における食品ロスの現状と課題や本県の目標、食品ロス削減に向けた施策の展開や計画の推進が定められています。 そこで、本県の食品ロス発生状況を踏まえて、今後どのように取り組んでいくのか、お尋ねしたいと思います。 まず、食品ロス削減に係る意識調査結果で、20代、30代の若年者の意識、関心が低いという結果が出ていますが、若い世代に向けてどのような対策をしているのか、お尋ねします。 次に、目標達成に向けて、特に幼少期からの意識づけが大変重要であると考えますが、どう取り組んでいるのか、お尋ねいたします。 次に、食品ロスは一般家庭で発生しており、本県においては、事業系より家庭系での発生量が多い結果が出ていますが、家庭での発生に対し、どのように取り組んでいるか、お尋ねします。 また、食品ロスは、事業系である食品関連企業や外食産業からも発生しています。食品ロス削減に向けて、企業と一体となって取り組むことが重要と考えますが、企業への啓発や情報交換、連携はどうなっているのか、お尋ねします。 次に、熊本県内には、子ども食堂などフードバンク的な取組をしている団体が幾つかあると承知していますが、このような団体と連携があるのか。また、どのような取組をしているのか。 以上、環境生活部長にお尋ねいたします。  〔環境生活部長小原雅之君登壇〕 ◎環境生活部長(小原雅之君) 食品ロス削減は、ゼロカーボン、さらにはSDGsにもつながる重要な課題です。本県では、食品ロス削減の取組を総合的に推進し、持続可能な社会の実現を図るため、本年3月に熊本県食品ロス削減推進計画を策定しました。 本計画では、消費者、事業者、関係団体等が食品ロス削減という目標を共有し、協力しながら、県民一体となって取り組んでいくこととしています。 まず、若い世代への対策についてお答えします。 今年度は、食品ロス問題への関心を高めるため、様々なメディアを活用した広報活動を展開することとしています。特に、食品ロス削減の関心が低いとされる20代、30代を意識し、テレビやウェブ、SNSを活用した情報発信など、食品ロス削減についての啓発を効果的に実施してまいります。 次に、幼少期からの意識づけの取組についてですが、食品ロス削減の意義を認識し、実践してもらうためにも、幼少期からの消費者教育が重要と考えています。 現在、幼稚園では、食育活動や栄養相談が行われています。また、小学校では、買物の仕方、中学校では、食材の有効な使い方などの家庭科授業が行われています。加えて、小中学生を対象とした環境出前講座でも、食べ残しの削減を啓発しております。 今後も、関係機関と連携し、教育活動を通じて、食品ロス削減に関する理解を深めてまいります。 次に、家庭でできる取組についてですが、議員御紹介のとおり、消費者の行動変容につながる4つの行動を、食品ロス削減アクション四つ葉のクローバー運動として、重点的に推進してまいります。 具体的には、第1に、買物時に、すぐ食べるものは商品棚の手前から選ぶてまえどり、第2に、外食時の食べきり協力店の利用や宴会時の3010運動による食べきり運動、第3に、家庭に眠っている食品を集めて必要とする団体に提供するフードドライブの推進、第4に、消費者モニターを募って、家庭での食品ロス発生の課題や改善策を消費者や事業者にフィードバックする食ロスチェックの実施です。 このように、家庭ですぐに取り組める具体的な行動を分かりやすく示し、呼びかけることで、県民運動の機運醸成を図り、消費者の意識改革や行動変容を促します。 最後に、企業への啓発や情報交換、さらには支援団体との連携についてです。 事業者をはじめ県内の関係団体で構成し、食品ロス削減、ごみゼロ、ゼロカーボンを一体となって取り組む会議の設置を検討しており、会議等を通じて、食品ロス削減の取組への理解と協力を働きかけてまいります。 また、食品ロス削減に向けた商慣習の見直しなどに取り組む事業者や食べきり協力店、フードドライブに参加する事業所を県のホームページに掲載するなど、積極的に周知し、取組を後押しします。 なお、フードドライブについては、10月の食品ロス削減月間での実施に向け、多くの企業に参加いただけるよう準備を進めています。集めた食品は、子ども食堂や独り親家庭を支援する団体を通して、食品を必要とする方々に提供できるよう検討しています。 このように、様々な取組を消費者、事業者、関係団体など県民一丸となって実施することにより、SDGsの実現に寄与し、ゼロカーボンにも資する食品ロスの削減を図ってまいります。  〔竹﨑和虎君登壇〕 ◆(竹﨑和虎君) 環境生活部長より御答弁いただきました。 熊本県食品ロス削減推進計画の施策の展開や取組については、とてもよいことだと思います。しかし、まだまだ県民の皆さんへの周知ができていないと思います。 今後、様々な啓発を効果的に実施していくとのことでしたが、例えばスクリーンに投影されている四つ葉のクローバー運動のロゴマークですが、議場内にいらっしゃる皆さんの中にも、初めて見たという方がいらっしゃるのではないでしょうか。 このロゴマークのピンバッジやシールやのぼり旗を作成し、視覚に訴えていくのも一つの手法だと思います。また、くまモンを活用し、広く県民の皆さんに周知していただきたいと思います。 また、現在、コロナ感染対策とともに、ゆっくり着実に経済活動も動き出しています。結婚披露宴や各種祝賀会、また、各種団体の総会に伴う懇親会など、大人数での宴会も少しずつ開かれています。 議員の皆さんも経験があると思いますが、各種宴会において、乾杯後、今は久しぶりということもあり、出席者の方々に挨拶をしていたら、あっという間にお開きの時間となってしまう。自分の席にいろいろな料理のたくさんのお皿が何皿も置かれており、閉会までに食べることができなかったり、閉会後食べていたら、会場の都合もあり、全部食べ切れなかったり、もったいないので、これは持ち帰ることができますかと尋ねても、それもなかなかできない状況にあります。 御答弁の中に、宴会時の3010運動による食べきり運動の推進の話がありました。この3010運動とは、乾杯後30分は席を立たずに料理を楽しみ、お開き10分前には自分の席に戻って再度料理を楽しむ運動のことです。以前は、司会者の方から3010運動を求めるアナウンスがありましたが、現在は全くないように感じます。 県として、3010運動の改めての周知、また、持ち帰りの問題も含めて、会場となる事業者や会合の主催者とどのようにしたら改善できるか、連携し、取り組んでいただきたいと思います。 さらに、食品ロスの削減の推進に関する法律には、市町村に対して、食品ロス削減推進計画の策定が努力義務として定められております。県内においては、熊本市だけが策定しておるようです。県として、リーダーシップを取り、全ての市町村に働きかけ、県民の皆さんと一体となって取り組んでいただきたいと思います。 それでは次に、新型コロナウイルス感染症対策におけるワクチン接種の取組状況とマスク着用の考え方と県民の皆様への周知について質問いたします。 令和2年2月21日、本県において、最初の新型コロナウイルス感染者が確認されました。それから約2年4か月がたとうとしておりますが、これまでの累計では、本県において、6月5日に10万人を超え、昨日時点で10万1,079人の方の感染が確認されています。 改めて、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた皆様方に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、罹患された方々に心よりお見舞い申し上げます。 本県において、本年1月21日から適用となっていたまん延防止等重点措置が3月21日をもって解除となりましたが、依然として、新型コロナウイルスの感染が収まらず、県民の皆様方には、長期間にわたり御不便な生活を送られていることかと思います。 そのような中に、昼夜を分かたず、様々な対策に取り組んでおられます医療従事者の方々をはじめとする関係各位の御尽力に改めて深く感謝を申し上げます。 また、感染拡大防止に日々御尽力されている蒲島知事をはじめ関係部局の皆様方にも心より敬意を表します。 私自身も、県議会の一員として、引き続き、県執行部の皆様方と一体となって、感染防止対策はもとより、県民の皆さんの生活や大きな影響を受けている地域経済への支援や不安解消に向け、全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。 新型コロナウイルス感染症の全国的な感染がいまだ収まらない中、現在、国においては、感染対策と経済活動の両立に向けた様々な取組が進められております。このような取組を可能とするため、引き続き、ワクチン接種は大変重要であると考えています。 本県においても、蒲島知事からワクチン接種が新型コロナウイルス感染症収束の切り札であると説明され、接種を推進してきました。 本県では、ワクチン接種の実施主体である市町村や医療従事者等の関係者をはじめ、支援する県や関係団体等の皆様の御尽力により、3回目接種も円滑にワクチン接種が進められていると認識しています。 一方で、全国的に、12歳から19歳、20代、30代と、若い世代の接種率が伸び悩んでいると報道されています。 また、現在、新型コロナウイルス感染症にかかった場合の重症化予防の観点から、60歳以上の方や18歳以上60歳未満で基礎疾患を有する方などを対象に、4回目接種が進められています。 このような中、30代以下の若い世代の3回目のワクチン接種率の低さや、モデルナ社製よりファイザー社製のワクチンを選ぶ人が多いことが原因で、全国的に有効期限切れのワクチンが大量に廃棄されているという報道が相次いでいます。 そこで、1点目の質問として、ワクチンの接種について、3回目接種の状況と4回目接種の取組状況について、また、本県においてワクチンの有効期限切れによる廃棄が発生しないように、どのような取組を行っているか、お尋ねします。 続きまして、マスクの着用に関してお尋ねします。 国においては、6月1日から新型コロナの水際対策を緩和し、1日当たりの外国人入国者数の上限を1万人から2万人へと倍増させました。さらに、同日には、2年3か月ぶりに韓国旅行が可能となる観光ビザの発給が再開され、東京の韓国大使館に大行列ができるなど、今後、人的交流が増加していくものと思われます。 このような中、国は、5月にマスク着用に関する新たな考え方を示しました。屋外か屋内なのか、距離が確保されているのか、会話があるのかないのかでの判断になっています。また、子供のマスク着用についても、就学児については、屋外、屋内、学校生活での対応や、また、未就学児の対応も示されました。 このような中、6月に入り、他の都道府県において、体育大会やその練習時にマスクを着用していた多数の生徒さんが、熱中症と見られる症状で病院に搬送されたり、入院されたりと報道されています。 これから暑い季節を迎えるに当たって、熱中症予防など健康管理の観点から、また、マスク生活が2年余り続いている中、どのようにするべきか迷っている県民の方もいらっしゃるのではないかと思います。 そこで、2点目の質問として、県として、マスク着用についてどのように考え、県民の皆さんにどう伝えていくのか、お尋ねします。 以上2点について、健康福祉部長にお尋ねします。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) まず、1点目の本県の3回目接種の状況についてですが、6月5日時点で、約111万人の方が接種を完了されています。これは、県民の63%に当たり、全国平均の59%と比較して高い水準にあります。 一方、本県も含め、全国的に伸び悩んでいる若い世代のワクチン接種については、学生や働く世代の接種を加速化するため、県民広域接種センターを設置するとともに、SNSやウェブ広告により繰り返し情報を発信しました。また、職域接種について、県内の企業や大学等に個別に働きかけを行ったところです。その結果、本県は、20代で全国6位、30代で全国5位と、接種率は高い状況となっています。 引き続き、正しい情報の積極的な発信に努め、若い世代を中心に、広くワクチン接種を呼びかけてまいります。 次に、4回目接種については、対象の方が速やかに接種できるよう、市町村と連携し、実施方法やスケジュール等を定めた実施計画を策定しました。 既に、先月から7市町村で4回目接種が始まっており、今月中にほぼ全ての市町村で接種を行う予定です。 また、ワクチンの廃棄防止対策については、市町村が接種の予約や進捗状況を把握した上で、実態に応じたワクチン量の配分を国に求めるとともに、県が調整して自治体間のワクチンの融通を行ってきました。これにより、現時点で他県のような大量廃棄は発生しておりません。 今後も、貴重なワクチンを有効に活用できるよう、市町村と連携を密に図りながら、接種を進めてまいります。 次に、2点目のマスクの着用については、基本的な感染防止対策として重要であり、新型コロナの発生当初から県民の皆様にお願いしてきました。 そのような中、先月、国の基本的対処方針が改定され、マスクの着用についての考え方が明確化されました。今後は、県民の皆様には、マスク着用をお願いする場面と必要としない場面を御理解の上、適切に対応していただきたいと考えております。 具体的には、マスクの着用をお願いするのは、屋内で他の人との距離が近い場合や距離が離れていても会話をする場合、屋外であっても他の人と近くで会話をする場合です。また、高齢者などの重症化リスクが高い方と接する場合も、マスクの着用をお願いします。 一方で、マスクの着用を必要としないのは、屋外で他の人と距離が離れている場合や距離は近くても他の人とすれ違う場面など会話をほとんどしない場合、屋内でも他の人と距離が離れていて会話をほとんどしない場合です。 特に、議員御指摘のとおり、気温が高くなる夏場においては、熱中症となる危険性があることから、屋外でマスクの着用が必要ない場面では、マスクを外していただきますようお願いします。 また、小学校就学前の児童のうち、2歳未満は、従来からマスクの着用は勧めておりませんし、2歳以上も、基本的にはマスクの着用を勧めていません。 今回、このようにマスク着用の考え方が明確化されたことについては、既に県のホームページでお知らせするとともに、保育所や学校、市町村や関係団体に対して通知したところです。 県としては、県民お一人お一人が、その時々に応じて正しくマスク着用をしていただけるよう、まずは、県のホームページをより見やすく、分かりやすいものにするとともに、今後も様々な媒体を使って広報するなど、さらなる周知を図ってまいります。  〔竹﨑和虎君登壇〕 ◆(竹﨑和虎君) 健康福祉部長より御答弁いただきました。 新型コロナウイルスワクチン接種、本県でも、先月から4回目接種が始まったということでありました。 国は、これまでの感染拡大防止から、対象者を絞り、重症化予防に目的を転換しました。 報道によると、イギリスでは、70歳以上での4回目接種が、入院や死亡率を大幅に下げるとする研究結果が発表されています。しかし、本年1月に4回目接種を本格的に開始したイスラエルでは接種率が8%ほど、同じくチリでは約30%、本格開始から3か月たつスウェーデンでは12%と、頭打ちの状態となっているとのことです。 運用の複雑化、これにより県民の皆さんや接種現場で混乱が起こらないよう、県として、市町村と連携し、4回目の接種率が上がるように取り組んでいただきたいと思います。 また、マスクの着用については、これから暑くなるので、外では外したいと歓迎する声もありますが、一方で、学校生活や学校行事での基準や対応が曖昧なので、トラブルになるのではないかという戸惑いの声もあります。 健康福祉部だけではなく、教育委員会とも連携し、どのような場面でマスクを着用するのか、また、外すのか、分かりやすい説明と周知をお願いいたします。 それでは、最後の質問に移らせていただきます。 有明海沿岸道路の整備についてお尋ねをいたします。 熊本県と熊本市では、広域的な道路整備の基本的方向性を示す熊本県新広域道路交通計画を昨年6月に策定されました。そして、国土交通省においては、7月に熊本を含む九州各県の計画を九州地方新広域道路交通計画として取りまとめ、公表されました。 スクリーンを御覧ください。(資料を示す) これは、国土交通省有明海沿岸国道事務所のホームページに掲載されている九州地方新広域道路交通計画の広域道路ネットワーク計画のうち、有明海沿岸地域を抜粋されたものです。 これまで、熊本県側は、有明海沿岸道路Ⅱ期として、福岡、佐賀県側と区分されていましたが、今回の計画において、有明海沿岸道路は、熊本市から福岡県大牟田市や柳川市、佐賀市を経由し、佐賀県鹿島市に至る高規格道路として明確に位置づけられました。 将来的には、熊本天草幹線道路等と一体となって、有明海沿岸地域の連携強化に大きな効果を発揮する道路となるものと確信しています。 そのため、私は、有明海沿岸インフラ整備3県議会連絡会議の一員として、福岡、佐賀両県議会の沿線議員の皆様とともに、有明海沿岸道路の早期整備を訴えてまいりました。 昨年11月18日には、熊本県議連を代表して、井手会長とともに国土交通省や財務省に、また、去る3月23日にも、井手会長、内野幹事長とともに国土交通省九州地方整備局に赴き、荒尾市から長洲町区間の早期事業化や長洲町から熊本市間の事業化に向けた計画段階評価への着手などを国に強く働きかけてまいりました。 福岡県側では、既に三池港インターチェンジから大野島インターチェンジ間の27.5キロが開通しており、今年度内には、佐賀県境をまたぐ大野島インターチェンジと諸富インターチェンジ間の1.7キロの開通が予定されています。 佐賀県側においても、大川佐賀道路約9キロ等の整備が進められており、佐賀市の嘉瀬南インターチェンジから白石町の福富インターチェンジ間約10キロが開通しています。 そして、熊本県側においても、今年1月から三池港インターチェンジ連絡路の工事が開始されました。県内初の工事着手に際して開催された着工式では、蒲島知事とともに熊本、福岡両県の関係国会議員、沿線自治体の首長、そして県議会からも当時の小早川議長をはじめ多くの議員が出席し、盛大に着工を祝いました。 そして、一昨年度1億5,500万円であった国の予算も、昨年度は、当初予算で4億4,000万円が確保されました。さらに、三池港インターチェンジ連絡路の着工後には、2億1,000万円の補正予算とともに、今年度当初予算は、一昨年度の約5倍に当たる8億円となり、総額約10億円の予算が確保されて整備が進められています。 私は、有明海沿岸道路において熊本県内での工事が開始されたことで、今後、整備が飛躍的に進み、通勤圏の拡大による定住促進や物流の利便性の大幅な向上による企業の進出、沿岸地域の特産物であるミカンやイチゴ、また、ナスビやトマトなどの農産物やノリやアサリなどの水産物の市場拡大、また、国内外からの観光客の増加など、全線開通後に発展する沿岸地域の状況を思い描いております。 同様に、熊本市内の皆様も、工事のつち音を実感されており、加えて防災・減災、国土強靱化が叫ばれる中、救援物資の輸送や緊急車両の通行確保等、災害支援活動を支える道路として、また、適切な医療緊急搬送体制を構築し、命の道として、荒尾から熊本市までの早期整備への期待はますます高まっています。 そして、熊本では今、世界的半導体企業であるTSMCとソニー、デンソーによる新工場建設が進められており、2024年末には、半導体の生産が開始される予定となっています。 世界的な半導体不足が叫ばれる中で、熊本が日本経済の安全保障の一翼を担い、その効果を九州はもとより、全国に波及させるためにも、有明海沿岸道路を含む本県の幹線道路整備をさらに進めていく必要があると考えています。 また、民間でも動きが活発化しており、沿線の荒尾、大牟田、みやま、柳川、大川の5つの観光協会では、有明海沿岸道路整備の進展を見据え、広域的な連携により、沿線に連なる観光資源等を活用して観光客を呼び込むため、有明沿岸地域観光協会連絡会議を2019年3月に設立されました。 さらに、去る6月4日には、佐賀市、鹿島市、嬉野温泉、太良町、小城市、島原観光ビューローの6つの観光協会も加わり、熊本、福岡、佐賀、長崎の4県をまたぐ11の観光協会により環有明海観光連合が設立され、さらに広域的な取組を推進されることとなりました。 そして、将来的には、玉名市や熊本市、宇土市、宇城市、上天草市、天草市など、有明海を取り巻く全ての観光協会の連携も視野に入れておられるとも伝え聞いております。 沿岸地域住民の有明海沿岸道路早期整備への期待の高まりと三池港インターチェンジ連絡路の着工という絶好の機会を捉え、荒尾市から長洲町区間の早期事業化など、整備を加速していく必要があると考えます。 これまで、歴代の土木部長は、有明海沿岸道路全線の国直轄による整備に向けて取り組むと答弁を重ねてこられましたが、それを実現するためには、この機を逃すことなく、しっかりと取り組むことが必要なのではないでしょうか。 そこで、有明海沿岸道路整備の加速化に向けた県の取組について、沿線地域に希望の持てる御答弁を土木部長にお願いしたいと思います。  〔土木部長亀崎直隆君登壇〕 ◎土木部長(亀崎直隆君) 有明海沿岸道路は、佐賀、福岡、熊本の3県にまたがる広域的な経済交流圏を創出し、九州の循環型高速交通ネットワークを形成する重要な路線です。 県内においても、熊本都市圏と荒尾・玉名地域の交流促進や熊本港等の物流機能を生かした県内産業の活性化などに役割を果たすことが期待されます。 三池港インターチェンジ連絡路については、軟弱地盤対策に係る調査や検討が完了し、本年1月に工事が開始されました。有明海沿岸道路の工事が県内で初めて着手されたことは、国による今後の全線整備に向けた大きな一歩と捉えております。 連絡路が接続する荒尾市の南新地土地区画整理事業の区域では、大島高架橋の橋脚が次々と姿を現してきました。また、この区域では、荒尾市において、令和7年度のあらお海陽スマートタウンのまちびらきに向けて、着実に整備が進められております。今後、道の駅や商業施設等の立地も予定されており、拠点性はさらに高まっていくものと期待されています。 また、県北地域の人流拠点である長洲港と長崎県の多比良港を結ぶ有明フェリーは、コロナ禍前は年間約90万人が利用されていました。長洲町においては、有明海沿岸道路の整備を見据え、フェリーターミナル周辺の整備を進められるなど、海の玄関口としての魅力向上に取り組まれております。 その荒尾―長洲間の早期事業化を実現することが、長洲―熊本間を含む有明海沿岸道路の全線整備に向けて、極めて重要であると考えております。 県としては、県議会、県選出国会議員のお力添えをいただきながら、沿線自治体や地元期成会の皆様とともに、あらゆる機会を捉えて、三池港インターチェンジ連絡路の整備推進と荒尾―長洲間の早期事業化を国に求めてまいります。さらに、それらの取組を進めることで、有明海沿岸道路全線の早期整備につなげてまいります。  〔竹﨑和虎君登壇〕 ◆(竹﨑和虎君) 土木部長より御答弁いただきました。 荒尾―長洲間の国による事業化、これが全線整備に向けてもとても重要だと私も考えております。この事業化こそが、長洲町から熊本市間の事業化に向けた計画段階評価への着手につながっていくものと確信しております。 県の広域道路整備基本計画に有明海沿岸道路の整備が掲げられて24年、福岡県大牟田市から熊本市までの区間が、国の候補路線に指定を受けて24年がたちました。 これまで様々な動きがありましたが、国の予算が大幅に増額され、民間の動きも活発化し、沿線地域の機運が高まっている今こそ、県と荒尾・玉名、熊本市が一体となって、また、民間とともに密に連携を取り、有明海沿岸道路全線の早期整備につなげていかなければなりませんし、私も、冒頭にお話しした村上先生に、ようやっとるなと褒めていただけるよう尽力してまいりますので、蒲島知事をはじめ執行部の皆さんの協働をお願いしたいと思います。 これで私の用意した質問は終わりになりますが、先ほど質問の中でも触れましたが、現在、国際社会は大きな変化の中にあります。ロシアによるウクライナ侵略により、戦後世界をつくってきた国際秩序は崩壊の危機を迎え、この急激な変化を前にし、自国の在り方を適応させていくことを余儀なくされているように感じます。 私の名前は和虎と申します。両親から、平和を愛する、そして虎のように強い人間であれと命名していただきました。ちなみに、とら年生まれでございます。 県民の皆様が、平和な中で、安全で安心して暮らせる社会づくりに強い気持ちを持って努めてまいることをお約束し、私の質問を終わらせていただきます。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) ○副議長(髙野洋介君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明10日は、午前10時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第4号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後2時8分散会...